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閉会式でイチロー(右)の腕をあげて祝福する王監督=AP |
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優勝し、トロフィーを持って喜ぶイチロー=AP |
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優勝後の祝賀会でイチロー(右)からシャンパンをかけられる王監督=AP |
マウンド付近にできた歓喜の輪がイチローを出迎え、王監督を吸い込んでいく。2人が抱き合う。イチローに背中を支えられる形で、王監督の胴上げが始まった。
「最高の形で野球のすばらしさをアピールできた」。王監督がうなずく。イチローは「野球人生で最高の日です」と目を輝かせた。
ハンク・アーロンを上回る868本塁打を放った世界の王と、04年に262安打を放ち、大リーグ最多記録を塗り替えたイチロー。米国で最も有名な日本の野球人に導かれ、最も有名な日本人大リーガーが先頭に立ち、日本が「世界の頂点」にたどり着いた。
未知の大会、調整が難しい春先……。代表を辞退する選手もいた。王監督は、しかし、泣き言を言わない。強いリーダーシップも強要しない。難しい状況からリーダーが育ち、チームが結束していくのを待った。
イチローは自分なりのスタイルでチームを引っ張った。「向こう30年、日本には手を出せないと思うぐらい完全に勝ちたい」。大会前の言葉が、日本を意識する韓国で刺激的に受け取られた。その相手に連敗すると、「最も屈辱的な日」と語った。
一連の発言が韓国とのライバル関係を鮮明に浮かび上がらせ、チームの緊張感は高まった。初めて経験する日本代表の誇りと所属球団で長く離れている優勝への渇望は、ふだん以上に彼を雄弁に、情熱的にしていた。
準決勝。王監督は、イチローを1番打者から3番へ昇格させた。打線につながりが出た。「どちらかと言うと、彼は個人主義的と見られていた。WBCに参加して、彼の熱いものが日本の人たちにも伝わったでしょう」
一方のイチローは「世界の王」と過ごした日々をこう語る。「野球人としての品格にたけている人。ただ単に数字を残した人じゃない」。打撃論も交わした。「打撃が簡単になったことはありますか?」「そんなことはほとんどないよ」
「偉大な王監督の言葉は、ぼくに勇気を与えてくれました」
この日も、2安打でチームを引っ張った。得点イニングに、すべてからんだ。「野球をやりながら強くなっていったことがうれしい。このチームで、メジャーでやりたいぐらいです」
優勝トロフィーを囲んでの記念撮影。笑顔をかわす2人の姿が、その真ん中にあった。