|
イラクで拉致された香田証生さん(24)は、24日までバグダッド市内で目撃されていた。所持金が少なく、安いホテルを探していたが、外国人であることを理由に断られていた。治安が悪化し、外出する外国人がほとんど見られなくなった首都で、その姿は目立ち、武装勢力に目をつけられた可能性がある。
ヨルダン・アンマンのクリフホテルに香田さんがチェックインしたのは19日。ホテルのマネジャー、サメルさん(31)に「イラクに行って、何が起きているのかを自分の目で見たい。サマワに行きたい」と相談した。
イラク入国に必要なビザ(査証)を持っていなかったが、審査がゆるい長距離バスで行けば入れるかも知れない。そんなことをいっていた。
サメルさんは他の日本人客と一緒に「危ないから、やめた方がいい」と説得したが、香田さんの気は変わらなかった。
20日夕、サメルさんはバス乗り場まで案内した。出発間際、香田さんは「お金が100ドルしかないが、大丈夫だろうか」といっていたという。
出発の約2時間後、サメルさんは心配になって日本大使館に電話し、宿帳の名前を伝えた。「連絡を受けたのはバスが出た後で、止めるすべはなかった」と日本大使館の担当者。サメルさんは「もっと強く止めれば良かった」と悔やむ。
約1000キロを走る長距離バスは座席数25。片道運賃約10ドル。21日午前、バグダッド中央駅の向かいにあるバスターミナルに到着した。Tシャツで軽装の日本人青年は周囲の視線を集め、「ここ数週間で外国人客はその人だけ」とバス会社職員は記憶している。
日本政府によると、この日、香田さんは宿泊を予定していたボルジュアラブホテルに行った。だが、外国人宿泊によるトラブルを恐れるホテル側から拒否された。
翌22日、香田さんは中心部のサドゥーン通り沿いにあるカサブランカホテルに現れた。
かつて外国人を1泊20ドル前後で泊め、NGO関係者らがよく利用していたホテルだ。だが、8月からイラク人しか泊めなくなっていた。外国人がいると米軍の捜索を受ける。外国人客を狙った武装勢力の攻撃も怖い。
「日本人青年に事情を説明し、謝ったうえで引き取ってもらった」と受付の男性(50)はいう。
香田さんは24日、近くのアガディールホテルを訪ね、同じ理由で宿泊を断られていた。
(10/28 10:49)
|