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「アルジャジーラ発」の情報が、イラクの邦人人質事件の節目に流れる。拘束の模様を最初に報じ、10日午後9時(日本時間11日午前3時)には、「24時間以内に解放する」とする犯人グループからの声明を伝えた。このカタールの衛星テレビ局から発信される解放の情報を待ちながら、期限の24時間は過ぎた。時に混乱しつつも、事件を積極的に追う編集の現場を見た。
アハメッド・アルシェーク編集局長は部下を怒鳴りあげた。「どうなっているんだ」
11日午後、普段は社員が淡々と仕事をするパソコンの並ぶ部屋で、多くの社員が慌ただしく動き回った。
怒りの原因は、約1時間前の放送内容だった。「日本が24時間以内に謝罪し、イラクから撤退しなければ人質を殺す」との声明を読み上げるイラク人男性のインタビューを生中継した。同局が前夜伝えた内容と、百八十度違っていた。
アハメッド編集局長は「今回の報道で、日本の家族や政府を混乱させてしまった」と語り、男性の読み上げた声明は信用できないという立場を明らかにした。
午後5時すぎには、日本の国際交流団体ピースボートの吉岡達也共同代表が生出演した。「人質の3人はイラク人を愛し、イラク人のために活動していた。一刻も早く解放して欲しい」とメッセージを伝えた。
「人質解放の助けをしたい」との気持ちは、同局の多くの記者が共有する。「日本の立場は、きちんと伝えたい」と編集局長は話し、この事件の報道に時間を割く。同7時ごろには、イスラム教指導者が犯行グループに「人質の殺害を思いとどまるように」と語る映像を放送した。
反米的とされる同局だが、編集局員の多くは親日派だ。流暢(りゅうちょう)に日本語を操る記者や、零戦のプラモデルのマニアまでいる。
午後7時半。局内の雰囲気が明るく変わった。
「今日、グッドニュースを伝えられる」
編集局員たちは、一様に笑顔になり、詰めかけた日本の報道陣に話しかけ始めた。
8時50分、別の外国人が武装勢力に解放された場面が放送された。幹部の1人は「日本人も、もうすぐだ」と耳打ちしてきた。
しかし、約1時間後には再び編集局内の雰囲気が変わった。膠着(こうちゃく)状態という感じになった。
午後11時半、速報担当のオマー・ベック・マーヘビ主任が、「今日はニュースは入ってこなかった」と日本の報道陣に退去を促した。「我々にはイスラム教指導者という情報源がある。人質の解放が近いのは間違いない」
アハメッド編集局長は帰宅する際、疲れた様子で語った。
「今日は駄目だったが、明日中には明るいニュースを世界に発信できる。アルジャジーラは事実を追っている」
(04/12 15:29)
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