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「テロに屈しない」と繰り返してきた小泉政権が、イラクでの日本人人質事件では微妙な対応を迫られている。犯行グループの要求は自衛隊の撤退。小泉首相や福田官房長官は撤退しない方針を掲げながらも、犯行グループを刺激することを避け、「撤退しない」との言葉を自ら口にするのは避けている。相手の姿も交渉手段もつかめない、かつてない危機への対応。26日に発足3年を迎える小泉政権はいま、最大の試練を迎えている。
「撤退する理由が見つからない」。福田長官は9日の記者会見でも前日と同様、そんな言い回しに終始した。
小泉首相も9日、記者団に「撤退するつもりはないか」と聞かれて「ありません」と答えたものの、自ら「撤退しない」とは断言しなかった。
同日の衆院厚生労働委員会で佐々木憲昭氏(共産)から「自衛隊を撤退する時期ではないか」と迫られたが、「テロリストの思うつぼになるのは避けなければならない」と答弁。「どんな事態になろうともイラク復興支援に日本は責任を果たしていく」と語った3月26日の記者会見に比べ、慎重な言い方を通した。
政府高官は「対決姿勢を示して犯行グループを刺激すべきではない。政府としてはっきり『撤退しない』とは言わない」と解説する。「撤退しなければ3人を殺害する」という犯人グループを相手に「拒否」を明言すれば3人に危険が及びかねないとの判断からだ。
それだけではない。悩ましいのは、いまだ犯行グループを特定できず、接触もできていないことだ。「情報機関が把握している団体ではなく、実態がわからない。手がかりは映像だけ」と首相周辺。身代金目的の誘拐なら接点も見いだしやすいが、今回は自衛隊撤退が唯一の要求で、「全く初めてのケース」(政府高官)。相手の出方が全く想定できない。
ただ、事態の推移によっては、政権批判が一気に高まる懸念も捨てきれない。首相らにとっては最後の手段としての「撤退」の可能性を完全に閉ざすこともできない。
YKKの一人、加藤紘一元自民党幹事長は「命は大事だが、自衛隊撤退は国際政治を大きく動かしてしまう。首相も苦しんでいると思う」と、首相の心中を解説する。
(04/09 22:04)
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