
突然、実感わかぬ 使命感と知力、体力…残念
30日
0:40(現地時間29日18:40) 米英暫定占領当局(CPA)からバグダッドの日本大使館に事件発生の連絡。
2:00 外務省が緊急対策本部を設置。
4:50 杉田和博内閣危機管理監が首相官邸に。その後、二橋正弘官房副長官、5人の首相秘書官らが官邸に入る。
6:15 外務省の北島信一官房長と堂道秀明・中東アフリカ局長が記者会見で事件の概要発表。
6:16 「2邦人、ティクリートで殺害」と、ロイター通信が東京発で外務省発表を速報。
7:00 防衛庁の北原巌男官房長が登庁。バグダッド大使館に派遣した防衛駐在官の所在確認など情報収集にあたる。
8:00 東京・東五反田の首相仮公邸に杉田危機管理監、首相秘書官らが移動し、小泉首相と協議。堂道局長、岡本行夫首相補佐官も加わる。
8:24 フジテレビの「報道2001」で自民党の平沢勝栄衆院議員が「ここで自衛隊派遣をやめると、まさにテロの思うつぼ。安全に万全の対策を講じたうえで、やっぱり派遣すべきだ」。
10:15 テレビ朝日の「サンデープロジェクト」で、民主党「次の内閣」安全保障相の前原誠司氏が、イラクでの米英軍に対する攻撃について「テロではなく、勝手にやられた戦争に対する交戦と言えるんじゃないか」との見方を披露。藤井裕久旧自由党幹事長もイラク戦争を「ブッシュ(米大統領)は十字軍だと言っていた。イスラムを敵に回している側面があった」と批判。
11:00 C130輸送機のイラク派遣がささやかれる航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)の隊員は、朝日新聞記者の取材に「ニュース速報で『イラクで日本人殺害』のニュースを知った。驚いた」。イラクでの安全対策については「防弾板などを検討中で、航空自衛隊にとってこれ以上の装備はない。これで現地に行くしかないと思う」。
11:00(29日21:00)すぎ ワシントンの加藤良三駐米大使にライス米大統領補佐官、アーミテージ国務副長官、ウォルフォウィッツ国防副長官から次々とお悔やみの電話が入る。
12:10 公明党が冬柴鉄三幹事長名で報道各社に「イラク日本人襲撃に関するコメント」を配布。「自衛隊のイラク派遣は、現地の治安状況などを詳細に調べたうえ十分慎重に判断をすべきだ」
12:30 「びっくりしている。突然のことで実感がわかない」。宮崎県都城市にある井ノ上正盛さんの実家の玄関先で、父靖夫さんが朝日新聞記者に。10分後、外務省の田中和夫大臣官房調査官が到着し、無言で中に入った。
12:45 「亡くなった2人は、私のイラクでのかけがえのないパートナーだった。奥氏はイラク中の街を回って人々と話をしていた。日本の支援策を計画し、イラクの人から頼りにされていた。彼らを失った穴はたとえようもなく大きい。三十数カ国が軍や専門家などを派遣している中で、日本は1人も出せない状況がある。(8月にバグダッドの)国連現地本部が爆破された時、奥氏は『岡本さん、これを見て引くことができますか』と話していた。今後は、彼の敷いたレールに乗って、彼の仕掛けたことをやり遂げたい」(岡本行夫首相補佐官がイラン、シリアなどを訪問するため成田空港を出発する前に)
12:47 民主党が岡田克也幹事長名の談話を報道各社にファクスで送る。死亡した外交官2人に「痛恨の極みで衷心よりご冥福をお祈りする」とお悔やみを述べる一方で、「政府の安全対策と見通しの甘さの責任を問う」とも。
13:15 東京・芝公園の外務省庁舎で弔意を示す半旗を掲げた。
13:30 米軍普天間飛行場のある沖縄県宜野湾市で自衛隊派遣と改憲に反対する市民集会。ジャーナリスト平田伊都子さんは外交官の死亡について「ブッシュ政権による正義なき戦争に巻き込まれた犠牲者。日本は米国の言いなりになるべきではない」。
13:45 宮崎市の繁華街で、自治労県本部が自衛隊のイラク派遣反対の街頭行動。県内出身の井ノ上さんが犠牲になったと訴える。
13:49 飯島勲首相秘書官が首相官邸を出る。記者団にイラク自衛隊派遣への影響を聞かれて、「ないですよ」。
13:55 田中和徳・外務大臣政務官が成田空港を出発。外務省職員5人とともに、アムステルダム、アンマン経由でクウェートに向かい、イラク入りを検討する。「川口大臣から、速やかに行ってほしい、と言われた。大変なことが起こったという認識でいる」
14:40(0:40) 米のワシントン・ポスト紙(早版)が1面トップで「スペイン人7人が待ち伏せ攻撃で死亡 日本人外交官も別の攻撃で殺害」と報じた。
16:00 イラクに派遣される陸上自衛隊の第1陣の主力部隊となる第2師団(北海道旭川市)は通常の当直態勢。師団幹部は「隊員の非常呼集もなく、動揺もない」。一方、自宅でニュースを知った40代の自衛官は「ショックだ」。
16:00(16:00) 韓国の尹永寛(ユン・ヨングァン)外交通商相が川口外相あてに電報を送る。「襲撃事件に衝撃を禁じ得ず、犠牲者に哀悼の意を表する」
16:45 二橋官房副長官が官邸を出る。テロかどうかとの記者団の質問に、「状況をよく調べないと、判断できない」。
18:30(9:30) ロンドンの日本大使館前で、折田正樹・駐英大使が奥克彦参事官を悼んで「立派な外交官だった。使命感を持ち、責任感が強かった。知力とラグビーで鍛えた体力を兼ね備えていた。こんな形で失うのは残念でならない」。
19:14(11:14) フランスのシラク大統領が哀悼の意を表する書簡を小泉首相に送ったとAFP通信が伝えた。大統領は書簡で「ニュースを聞いて大きな悲しみを抱く。苦悩を分かち合うとともに、犠牲者の家族に弔意を伝えたい」と述べた。
20:10(12:10) ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が、バチカンのサンピエトロ広場での日曜の祈りで、中東などでの出来事について「深く憂慮している。世界の主要宗教の責任者たちに、私は何度でもアピールする。非暴力、許し、和解を説くために力を合わせよう」。
=カッコ内は現地時間
(朝日新聞2003年12月1日朝刊紙面)

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