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英がイラク戦争を正当化する根拠とした大量破壊兵器が見つからない問題で、英国の独立調査委員会(委員長・バトラー元内閣府長官)が14日、報告書を公表した。開戦前、イラクは配備可能な生物・化学兵器を持っていなかったと指摘したうえ、これらを大量に保有しているとした英情報機関の情報は「深刻な欠陥があり、疑わしい」と批判した。
これを受けてブレア英首相は同日午後、議会で「イラク攻撃に踏み切った時点で、旧フセイン政権は配備可能な生物・化学兵器を所有していなかったことが明らかになりつつある。それを認めざるを得ない」と述べた。米上院情報特別委員会も先週、イラクに関する米中央情報局(CIA)の情報収集活動の大半を誤りと結論づける報告書を発表しており、イラク戦争の中心になった米英両国で、武力行使の正当性に対する信頼が揺らぐことになった。
報告書は「政府による意図的な情報の歪曲(わいきょく)はなかった」としながらも、ブレア首相が議会でイラクの大量破壊兵器の脅威を訴えた際、「確実な情報に基づいているかのような印象を与えた」と指摘。政府による情報の不適切な分析、利用を指摘した。
英政府は開戦半年前の02年9月末、イラクが大量破壊兵器の開発、保有を続けていると断定する文書を公表。この中で「イラク軍は命令を受けて45分以内に、こうした兵器を使用できる」などと主張した。ブレア首相は序文で、「イラクの脅威は深刻で差し迫っている」と強調した。
バトラー報告は「45分の脅威」は戦場で使われる兵器を指しており、ミサイルに載せて遠方を攻撃できるかのような誤解を与える形で政府文書に含めるべきではなかったと主張した。また、イラクが移動式の生物兵器製造施設を保有しているとの情報や、核開発に利用する目的でアルミ管を入手したとする情報も「実態を伴っていなかった」と断定した。
また報告は、政府がイラクの脅威を訴える目的でこの文書を起草させるなど、国外での情報収集を担当するMI6などの情報機関を過度に利用した過ちを指摘。首相が、側近と情報機関の幹部だけに頼って情報の使い方を決めていった過程を反省したうえ、今後、情報機関から一定の距離を置き、情報収集活動の中立性を保障するよう提言した。
バトラー委員会は与党・労働党議員や軍のOBら5人で構成する。野党の保守党と自由民主党は「政府が対イラク開戦を決定した経緯を解明する機能がない」などと批判し、組織としては参加を取りやめた。
イラクの大量破壊兵器をめぐっては、英国防省顧問のケリー博士が自殺した事件の真相究明を目的に、独立司法調査委員会(ハットン委員会)が今年1月末に報告書をまとめた。内容は政府の主張を大筋で認め、ケリー氏の自殺に対するブレア首相や英政府の責任を否定した。「45分の脅威」を強調した政府文書に関して、英BBCが情報操作による「誇張」と伝えたことについては、誤報と結論づけた。この結果、BBCは会長らトップ2人が辞任に追い込まれた。
(07/14 22:34)
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