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なぜこんなに対応が遅れたのか。イラク人虐待事件の波紋が週明けのワシントンに広がった。米軍は1月に虐待の事実をつかみ、3月までに内部調査報告書をまとめていた。だが、収監者をいたぶって笑う米兵の写真が世界に配信されるまで、ブッシュ大統領らは動かなかった。「事態の緊急さをわかっていない」と米上院議員。イラクで反米機運がさらに高まり、6月末の主権移譲への作業に不安定さを増す要因にもなりそうだ。
「厳しい措置をとるべきだ」。ブッシュ米大統領は3日、ラムズフェルド米国防長官と電話で話し、イラク人虐待問題で責任者の訴追などの対応を求めた。
旧フセイン政権を倒し、大規模戦闘終結宣言から1年。「拷問部屋もレイプ部屋もなくなった」と成果を掲げてきた。しかし、この日長官と協議したのは「イラクにおける監獄システムの手続きや方策に関する包括的な見直し」(マクレラン報道官)だった。
報道官は今回の虐待を「数人による恥ずべき行為」と非難した。だが、政権側が「例外的な不祥事」とみている間に、米メディアは次々と新たな疑惑を報じている。
3日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、軍の調査報告書をもとに、米兵が女性収容者を裸にしてビデオや写真を撮影していたと報じた。女性収容者との性行為に及んだという疑惑も指摘した。
米ABCテレビは3日、アブグレイブ刑務所の責任者だったカーピンスキー准将を出演させた。「ほかにも責任のある人がいる。特定の個人や部隊の問題ではない」。准将は、軍の情報将校らが組織的に関与していた可能性を示唆した。
自身の責任については、イラク国内16施設の運営を担当し、同刑務所には常駐していなかったと釈明。「もし私が知っていたら、即座にやめさせていた」
ブッシュ政権は後手に回っている。制服組トップ、マイヤーズ統合参謀本部議長は2日、テレビ報道番組に出演し、虐待事件を例外的な行為と主張したが、調査報告書については「目を通していない」と発言した。
米国防総省によると、調査報告書は3月3日に完成していた。内部告発は1月13日にあり、カーピンスキー准将は1月中に更迭された。上層部は事件の深刻さをどこまでわかっていたのか。
ビンガマン上院議員(民主)は「受け入れがたい対応だ」と批判。外交委員会の重鎮バイデン上院議員(同)も「事態がどれほど緊急であるか、わかっているとは思えない」と国防総省の対応のまずさを指摘した。
駐留米軍のキミット准将は3日、米テレビなどに「軍の情報機関の行動も調査対象にしている」と述べ、「数人による例外的な犯行」との説明は次第に苦しくなりつつある。
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アブグレイブ刑務所虐待事件 米CBSテレビが4月28日に証拠写真を放映した。イラク人収監者への虐待は憲兵中隊の兵士らによって昨年10〜12月に多発し、米軍情報部隊や米中央情報局(CIA)が尋問に関与した疑いも浮かんでいる。
写真入りCDを容疑者の兵士から渡された別の兵士が内部告発して発覚した。米軍は今年1月、責任者カーピンスキー准将を停職にした。3月に兵士6人を虐待などの罪で起訴。さらに今月、将校ら6人を懲戒処分、1人を訓戒処分とした。
バグダッドの西約20キロにある同刑務所は旧フセイン政権下で拷問や処刑が行われ、「恐怖支配」の象徴の一つだった。昨年4月の旧政権崩壊後、米軍が管理し、大幅に改修。ラムズフェルド米国防長官らも視察に訪れた。武装組織メンバーや刑法犯ら数千人が収監されている。
(05/05 14:58)
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