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歓声を上げる民衆が遺体を切り刻み、車で引きずって鉄橋につるす――イラクのファルージャで3月31日に起きた米民間人殺害事件が、米国内に波紋を広げている。残忍な映像をどこまで伝えるかをめぐり主要メディアの対応は分かれ、ブッシュ政権は沈静化に必死になっている。93年に米兵18人が似たような形で殺され、撤退を余儀なくされた「ソマリアの悪夢」を思い出しながら、米国社会は今後のイラクへの関与をどうするか、自らに問いかけている。
□分かれる対応
事件の一報は31日の朝、米国に飛び込んできた。当初、CNNなど主要なテレビ局は、燃えさかる車両や歓喜する住民の映像を放映するのにとどめていた。同日夕、遺族に連絡されたことを確認すると、遺体映像の放映に踏みきった。
しかし、FOXやNBCは「すべてを見せる必要はない」(NBCプロデューサー)として、遺体の放映自粛を貫いた。
一方、新聞の多くは翌4月1日付朝刊で、遺体写真を掲載した。ニューヨーク・タイムズは、焼けこげた遺体2体がロープで鉄橋につるされた写真を1面に大きく掲げた。
米メディアは、米軍兵士の遺体が民衆に引きずり回されたソマリアでの事件を盛んに引き合いに出す。その映像が「一日で派遣の全面的見直しにつながるほど、影響を与えた」(ブルッキングズ研究所のオハンロン上級研究員)からだ。
□解放者のはず
今回の映像も、反米感情の強さと治安の悪さを米国民に見せつけた。殺された4人の同僚は、CNNに対し「無駄死にだ。イラク人は我々がとどまることを望んでいない」と話した。ABCテレビの書き込みサイトには、「どうして我々は嫌われるのか」のテーマで、さまざまな意見が寄せられている。
2日付ニューヨーク・タイムズの投書欄には、
「ブッシュ政権は、米国人は解放者として歓迎されると言ったが、写真が示しているのは(それに反する)真実そのものだ」など、事件への反響が並んだ。
ただし、今のところ直ちに撤退論が大勢になる気配はない。戦略国際問題研究所(CSIS)のサンダーソン研究員は「平和維持活動(PKO)部隊として派兵されたソマリアと、米国自らが状況を作り出したイラクとでは、事情が違う」と指摘する。
□類似事件の恐れ
ホワイトハウスのマクレラン報道官は1日、「我々は凶悪犯らの攻撃にひるむことはない」と述べ、政権として占領政策を変更するつもりのないことを強調した。
ブッシュ政権が神経質になるのは、「ソマリアの悪夢」の再来を恐れているからにほかならない。復興事業の請負業者を狙った事件は、バグダッドや南部でも発生している。
ジョージタウン大のハドソン教授は「占領への反発は三角地帯を超えて広がっている。今回の出来事がほかの地域のイラク人を刺激し、類似の事件が起こる可能性もある」と警告する。
事件をまたいで30日〜1日、CBSが実施した世論調査では、大統領の「対テロ戦争」に対する支持は2週間前の64%から58%に急落した。オハンロン氏は「こうした事件が今後、頻発すれば、いずれかの時点でイラク政策に対する世論が変質し始めるかもしれない」とみる。
(04/03 01:18)
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