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米政府がイラク復興事業の受注先について、米国に協力的な国の企業に限る方針を決定し、フランスやドイツなどが反発している。欧州連合(EU)は10日、世界貿易機関(WTO)の協定違反の疑いもあるとして調査に乗り出す方針を明らかにした。米側は「苦労している国の受注は当然だ」と反論しており、米欧の対立が再燃しかねない様相だ。
●批判噴出
「過去よりも将来を見据えようと言っていたのに、話が違う」。ドイツ政府報道官は10日、不満をあらわにした。
「イラク再建に加わる意思のある国を妨げてはならない」(ロシアのイワノフ外相)、「努力を結集すべき時に分断の種は避けるべきだ」(アナン国連事務総長)と、米国批判が相次いだ。
EU欧州委員会は「外国企業の参入を促すWTOの政府調達協定に違反する可能性がある」と発表。仏外務省のラドスス報道官は欧州委員会と協議していることを明らかにし、「競争を原則とする国際法に反していないか調べる」としている。
AP通信によると、ブッシュ大統領は10日、仏独ロの各首脳と、事前に日程が組まれていた電話協議をしたが、その中でもこの問題が取り上げられた。仏独ロと同様に外されたカナダも、米大使から事情を聴く方針だ。
●米の反論
米が決めた受注先リストからは、イラク戦争に反対した国だけでなく、スウェーデンなど中立国も除外されている。一方で、形式的に米を支持したものの他国の復興にかかわる余力はないルワンダやアフガニスタンが含まれるなど、国際的に疑問を買う点も多い。
しかし、米ホワイトハウスのマクレラン報道官は10日、「イラクで米国とともに奮闘している国が、米国民の税金が使われる事業の元請けにふさわしいと考えるのは適切だ」と正当化に終始。国務省や通商代表部(USTR)も会見や声明で同調した。
米政府の反論は、下請けであれば対象外の国の企業も受注する可能性がある▽米英の暫定占領当局(CPA)による事業発注は、WTO協定の対象外で違反にはならない−−などだ。
国務省のバウチャー報道官は、これまでの米国による復興事業の発注先は米国企業に限られていた事実も挙げ、「今回の措置は、特定の国を排除するためではなく、受注先を広げるためにとられた」とも語った。
●余波は?
もし米欧の対立が深刻化すれば、イラクが抱える対外債務の削減交渉に影響が出かねないと心配する声も出ている。
米国は、日米欧など19カ国でつくる主要債権国会議(パリ・クラブ)などを通じ、債権の放棄や返済繰り延べを求める方針。メンバー国の公的債権総額は約210億ドルだが、うち約89億ドルをロシアと仏独の3カ国が占めている。
今回の米政府の措置は「来年秋のブッシュ再選実現に向けて国民受けを狙った措置」(米ブルッキングズ研究所のイボ・ダールダー主任研究員)とも見られているが、その余波が結局、イラク復興の遅延ということにもなりかねない。
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<受注先の限定方針> 米国防総省は、自国が負担する186億ドル(約2兆円)のイラク復興事業について、受注の元請け先を、米国とイラクのほかに日本や韓国などイラク戦争や復興に協力している61カ国の企業に限定する、と今月5日付の文書で発表した。イラク戦争に反対したドイツ、フランス、ロシアなどは排除される。同省は「米国の安全保障上の利益を守るため」としている。
(12/11 13:50)
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