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イラクで本物と全く見分けがつかない旅券が偽造されている。その1点を、バグダッドの旅券事務所が鑑定したところ、台紙、スタンプ、印紙などが本物と同じであると認めた。署名の筆跡から旧フセイン政権で旅券発行を任務としていた治安機関の元担当官がかかわっている可能性が強いと言う。
イタリアのミラノ検察が、イラクやトルコでの自爆テロ志願者を募っていたアルジェリア人の活動拠点捜索時にイラクの偽造旅券を発見したとの報道が11月末にあった。国連報告書でも「戦争を機に国際テロ組織アルカイダがイラクに入った」と結論づけている。摘発困難な偽造旅券は、治安への大きな脅威となる。
現在イラク人が所持する旅券はイラク戦争開戦前に発行されたもので、占領統治下で新たな旅券は発行されておらず、旧フセイン政権の旅券がいまも有効だ。
記者は「バグダッドで完璧(かんぺき)な旅券を偽造するグループがいる」との情報を入手。情報提供者のイラク人男性が偽造グループと接触、新たに偽造旅券を入手する過程を確認し、詳細な証言を得た。
男性はバグダッド市内で複数の偽造あっせん業者に接触、番号が「03」で始まる旅券が「最も見破られる確率が小さい」と知らされた。ある業者は「旅券は4月にフセイン体制が崩壊した際、発券に必要な材料を旧旅券事務所から持ち出した」と言い、「実際に作っているのは以前発券に従事していた役人。これまで数百通つくったが、誰も捕まっていない」と付け加えたという。
男性は、200ドル(約2万1600円)を払い、写真1枚と身分証明書のデータを示して、翌日、偽造旅券を入手した。
発行日は戦争直前の03年2月27日で、有効期間8年。旧政権下で国外に出る際に必要だった出国許可証のシールも張られ、旧政権で発行された体裁をとっていた。
この旅券をバグダッド旅券事務所のアブドルサラム・ハンマディ所長が鑑定した。「台紙も印紙も本物。誰が見ても偽造とはわからない。署名や筆跡から、旧治安機関の担当官が書いたものにちがいない」と証言した。
同所長は、旧内務省で身分証明書の発行を担当していたが旅券業務にも詳しい。
旧政権では旅券発行は総合治安部の管轄で、フセイン体制崩壊で解体され、内務省に移管された。「03」旅券はイラク戦争開戦直前に発行された新しい旅券を示し、総合治安部には未使用の台紙が残っていた。体制崩壊の混乱で、材料や道具だけでなく、発行記録まで持ち去られており、外形的なチェック以外は不可能となっているという。
イラクで続くテロには、旧政権の残党がかかわっているとの見方が強い。旅券偽造にまで元治安機関員がかかわっているとすれば、破壊活動を行う旧政権残党が「別人」として出入国することもありうる。「こうした旅券がテロリストにわたっている可能性は否定できない」とハンマディ所長は証言した。
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<イラクの旅券> 旅券(パスポート)は、外国政府に対し、自国民であることを証明し、旅行や滞在の便宜や安全を図ってもらうように求める公的な文書。イラクでは、フセイン政権崩壊後、米英の暫定占領当局(CPA)が、有効な旅券を持っていないイラク人に対して暫定渡航許可証を発行している。
(12/04 03:07)
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