|
イラク復興支援特措法に基づく自衛隊の派遣先として最有力候補地とされるイラク南部サマワ市の市評議会が、日本側に上下水道の整備や学校など公共施設の建て替え・修理など15項目を要望していることが5日、わかった。イラク戦争時に空爆などの大きな被害はなく、旧フセイン政権時代に立ち遅れた民生の充実が主眼で、自衛隊が想定している支援内容とは、ずれが目立っている。
10月上旬にサマワ市を訪れた日本政府調査団に手渡した要望書を、朝日新聞が入手した。
人口約4万、周辺人口を加えて約20万人で、国内ではセメント産業で有名なサマワ市では、AP通信によると戦争で民間人112人が犠牲になったが、住民の話では、市周辺で大きな戦闘や空爆などはなく、建物への被害は軽微だった。
イラク特措法では、人道復興支援と安全確保支援の二つの活動の柱があり、人道復興支援では、医療、生活関連物資の配布、施設の復旧や整備などが主な業務とされる。
サマワ市は、旧政権時代に迫害されたイスラム教シーア派が多く、資金が投下されずに老朽化した公共施設を抱えており、政府調査団への要望も、下水道などインフラ整備のほか、医療、教育関係施設の充実など市民生活の向上をはかる内容になったとみられる。
米英の暫定占領当局(CPA)が任命した統治評議会の下部組織にあたる市評議会のアリ・アルダファイ議長(55)によると、ユーフラテス川から取水する浄水場が同市の北約25キロにあり、老朽化した送水管が漏水するため、給水車で運ぶほど水不足に悩んでいる。また、下水、排水施設の不備で、川の汚染が続いているという。
また、旧政権下の80年代半ばに日本の援助で建設された総合病院の設備が更新されておらず、磁気共鳴断層撮影(MRI)装置など最新機器の導入による医療充実の要望は切実な様子だ。
同議長は「市周辺の治安は万全だ。失業解消のため、日本の企業にも進出してもらいたい」と歓迎の意を示している。
ムタンナ州のモハメド・アリ・ハサン知事(53)も「上下水道と医療施設の充実が特に大事だ。地域再建に自衛隊の参加を望む」と話した。
一方、市内の市場で雑貨店を経営するタシム・モハメドさん(30)は「排水溝がなく、雨が降ると道路が水浸しになる。自衛隊を歓迎するが、本音を言うと企業を派遣してくれた方がうれしい」と話した。
◇
サマワ市評議会の日本政府調査団への要望書の主な内容(原文はアラビア語)
(1)浄水設備と給水システムの修理・建設
(2)排水網の整備
(3)市中心部の小学校10校の再建・修理を最優先に、郊外の15校の再建・修理
(4)小学校、特に郊外の学校に給食施設の整備
(5)スクリーンなど視聴覚機材
(6)MRI
(7)胆石などを取り除くための医療機器
(8)日本企業が80年代に建てた総合病院の建て替えと設備の更新
(9)小児・産婦人科病院に最新の医療機器
(10)救貧院、孤児院の建設
(11)幼稚園、小学校の通園・通学バス
(12)サマワ、ルマイサなどムタンナ州の市評議会に公用車
(13)小型のゴミ収集車
(14)高齢者、障害者施設の建設
(15)小型ショベルカー
(11/06 03:10)
|