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イラク中部にあるイスラム教シーア派聖地ナジャフのアリ廟(びょう)の外で29日午後、自動車に積まれたとみられる爆弾が爆発し、イラク統治評議会に参加するシーア派の主要政党イスラム革命最高評議会(SCIRI)の最高指導者ムハンマド・バーキル・ハキーム師(64)が死亡した。カタールのアルジャジーラ・テレビは病院筋の情報として死者は82人、200人以上が負傷したと報じた。犯行声明はないが、SCIRIの米英協力姿勢に反発する勢力の犯行とみられ、連日の米英軍への攻撃や国連本部テロに続いて、米英占領は決定的な治安の危機を迎えた。
バグダッドのSCIRI広報担当者によると、ハキーム師はこの日、アリ廟での金曜礼拝の説教を終え、車で出発しようとしたところで激しい爆発が起きたという。同師はアリ廟で毎週説教を行い、毎回大勢の礼拝者を集めていた。
シーア派強硬派か、旧フセイン政権の残党の仕業かは明らかではないが、シーア派の米英協調態勢を揺るがせることを狙ったものとみられる。
米英暫定占領当局(CPA)のブレマー代表は事件を受け、「今日の爆発で、新生イラクの敵が手段を選ばないことが分かった。彼らは無実のイラク人を殺し、イスラムの聖地を破壊し、テロリズムの邪悪な姿を現した。我々はイラク警察に全面協力し、首謀者を裁きにかける」と述べた。
一方、統治評議会のアハマド・チャラビ・イラク国民会議(INC)代表はアルジャジーラ・テレビで、十分に安全を確保しなかったとして米軍を非難すると共に、「イラクの分裂を図るフセイン旧体制の残党の仕業だ」と述べた。
ナジャフでは24日にも、ハキーム師の親類でシーア派の最高位の法学者(大アヤトラ)のムハンマド・サイード・ハキーム師の自宅前で爆発があり、護衛3人が死亡、同師が軽傷を負うテロ事件があったばかり。
バーキル・ハキーム師は、ナジャフの大アヤトラの息子として生まれ、70年代にはイラク国内でバース党体制に反対する運動を行い、度々逮捕された。80年にイランに亡命し、82年に反体制組織のSCIRIを結成した。湾岸戦争後にクルド人組織など国外にいる反フセイン政権組織と共同歩調をとり、シーア派組織の中心人物だった。
イラク戦争後はイランから帰国し、米英の占領政策に協力する姿勢をとった。7月にブレマーCPA代表が25人の統治評議会メンバーを任命した際に、弟のアブドルアジズ師が委員になった。
シーア派イスラム教徒はイラクの人口の6割以上を占め、ナジャフの宗教指導者集団が大きな影響力を持つ。現在の大アヤトラのアリ・シスターニ師やサイード・ハキーム師らは、米英の占領政策に協力する姿勢をとっているが、占領への対決を求める強硬派の指導者もおり、宗派内で緊張が高まっていた。
(08/30 01:05)
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