現在位置:asahi.com>ニュース特集>イラク情勢> 記事 イラク「6日戦争」で治安懸念 撤退シナリオに影響も2008年04月02日17時18分 イラクのマリキ首相が率いる治安部隊と、イスラム教シーア派の民兵組織マフディ軍との戦闘は、3月25日に始まって以降、イラク全土で400人ともいわれる死者を出した。「6日戦争」とも呼ばれる今回の戦闘は収束に向かいつつあるが、改善傾向にあるとされてきたイラクの治安のもろさを見せつけた。米英軍の本格撤退シナリオにも影響を与える可能性がある。
シーア派の反米強硬派指導者サドル師が傘下のマフディ軍に戦闘中止を呼びかける声明を出したのを受けて、マリキ首相は30日、「正しい方向への一歩」と歓迎する意向を示した。ロイター通信によると、激戦があった南部バスラやナーシリヤの街からは民兵の姿が消え、小康状態を保っている。治安当局は31日朝、首都バグダッドの無期限外出禁止令を解除した。 マリキ首相が今回、バスラでの掃討作戦に突然打って出た背景には、10月に地方選挙を控えている事情があるとみられる。 大油田地帯を抱えるバスラなどでは、サドル師派とイスラム最高評議会(SIIC)とのシーア派同士がしのぎを削り、傘下の民兵組織が抗争を続ける。マリキ政権で軍や警察の治安当局を握るSIICが首相と結託し、南部で根強い支持があるサドル師派をつぶしにかかったと、同派内では受け止められている。 サドル師派は06年5月のマリキ政権発足に貢献。マリキ首相の出身母体のダワ党、SIICとともに、シーア派与党会派「統一イラク連合(UIC)」を構成した。しかし、サドル師派は首相が米軍撤退日程を示さないことや、米ブッシュ政権が首相に実現を求める石油法案に反発。昨年は閣僚の政権離脱、国民議会ボイコット、与党離脱とゆさぶりをかけた経緯があり、首相にとっては悩みの種となっていた。 サドル師は9項目の声明の中で、「不当逮捕とでたらめな掃討の中止」や「不法拘束されている収容者の釈放」を掲げた。治安当局によるサドル師派を狙い撃ちにした取り締まりが、マフディ軍の分裂と一部の暴走を招いた。 マリキ首相は今回、「最終決戦」と意気込んでバスラにまで乗り込んだ。しかし、逆にマフディ軍の強さと治安部隊の能力の限界をさらし、サドル師側との水面下の折衝で「停戦」をのまざるをえなかったとみられる。 戦闘では米英軍も空爆支援などに乗り出さざるをえなかった。昨年後半にバグダッドや西部アンバル州で治安の改善がみられ、それをテコに本格撤退を探ってきたシナリオにも、影が差しそうだ。 PR情報この記事の関連情報イラク情勢
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