現在位置:asahi.com>ニュース特集>イラク情勢> 記事 トルコのイラク北部越境攻撃 山村の民間人に被害2008年01月06日06時22分 トルコ軍が越境攻撃を繰り返すイラク北部に入った。クルド人による広範な自治を要求して武装闘争を続けるクルド労働者党(PKK)の掃討がトルコ軍の目的。トルコ政府は「PKKと関連施設」に限定した攻撃だと主張するが、現場では空爆で民間人が死傷し、2000人以上が避難生活を強いられている。 イラク北部のアルビル州ソラン市から車で1時間余り北東に走ると、岩山が連なるカンディール山地が迫ってくる。頂上を雪で覆われた山の北西はトルコ、北東はイラン領だ。この山中にPKKの武装勢力数千人が潜んでいるとされる。 山間の集落に、トルコ軍の空爆を受けて疎開している住民が集まっていた。NGOからの救援物資を受け取るためだ。 「PKKと全く関係のない村が爆撃されている」。イスマイルさん(25)は興奮しながら、空爆当時の状況を語った。 12月16日午前2時、500人以上が暮らすレウジェ村に爆音がとどろいた。2時間ほどの間に20機以上のトルコ軍機が飛来し、子どもや女性が泣き叫ぶ声が響く村に空爆を繰り返したという。家屋のほか、診療所も破壊され、村民はけが人や高齢者を馬にしばりつけ、白煙があがる村から逃げ出したという。 この空爆で50代の女性が死亡したほか、若い女性が足を切断するなど約10人が重軽傷を負った。 ソラン市のキルマンジ市長によると、越境攻撃の影響で、少なくとも国境付近の40以上の村の住民2000人が避難生活を強いられている。 イラク政府は被災世帯に見舞金約800ドル(約9万円)を支給しているが、避難民の多くは農家で「耕す畑もなく、家畜も失った。今後、どうやって生活していいのか分からない」と途方に暮れている。 ■「PKKは敵」米と共通 トルコ南東部ディヤルバクルで3日、5人が死亡する爆発が起きた。PKKの関与が疑われている。ほかにも各地で爆発物が見つかっており、テロの不安に市民はおびえる。越境攻撃への報復を示唆するPKK幹部の発言も伝えられていた。 10月から南東部でPKKとの交戦が激化。エルドアン政権は、PKKに厳しい対応を求める国内世論に応えるため、11月下旬、軍に越境攻撃の承認を与えた。国際的な批判を避けるため、地上部隊の駐留を伴う本格的な越境作戦は控えているが、イラク側の反発をよそに、12月末まで断続的に山間地を空爆した。同月16、22の両日だけでPKKの武装勢力150〜175人を殺害したと発表した。 空爆を可能にしたのは、PKKを「共通の敵」と位置づけて11月に合意した米軍との協力体制だ。トルコ各紙によると、両軍はアンカラに情報共有拠点を設置。米軍は上空からの偵察情報を即時に提供し、攻撃を支援している。トルコ政府は、米軍がイラクへの補給拠点としてトルコ国内の空軍基地に依存する強みを生かし、米国の協力を取り付けた。 ギュル大統領は近く訪米する予定で、米国の「お墨付き」をさらにアピールするとみられる。 一方、越境攻撃を受けているイラク北部3州を統治するクルド地域政府のバルザニ大統領は、イラクを訪問したライス米国務長官との会談を拒否するなど、米国に反発。同政府の治安部隊「ペシュメルガ」の兵士約2万人を国境付近に配備し、PKK、トルコ軍双方に対する警戒を強める。 PR情報この記事の関連情報イラク情勢
|
ここから広告です 広告終わり どらく
鮮明フル画面
企画特集
朝日新聞社から |