今月15日の起草期限に向けて大詰めの議論が続くイラク憲法草案の骨格について、クルド自治政府の存続を認めて連邦制を打ち出す方向で調整が進んでいることが10日、明らかになった。草案ではまた、イスラムの尊重をうたい、少数民族の権利保護も明記する一方、存廃をめぐる論議が高まっているイラク基本法の女性優遇条項は一定期間存続させる方針という。米国務省高官がイラク側から得た情報として語った。
同高官は朝日新聞記者に対し、これまでのイラクの政治日程が曲がりなりにも予定通り進んできたことをふまえ「憲法も期限までに起草できるだろう」との楽観的な見通しを示した。一方で、現在も複数の草案が残っていると指摘。「起草後、部分的に追加や変更をすることもありうる」と述べ、難問を先送りする可能性も示唆した。
連邦制に関する規定では、クルド自治政府の存続で各案とも一致。残る地域の分権をどこまで認めるかが焦点となっているという。
イラク基本法には議員らの25%以上を女性とする優遇条項が設けられているが、「一定回数の選挙実施後に存廃を再検討する」との方向で撤廃派と存続派の妥協点を探っているという。
また、婚姻や相続などに関する「民法規定」については、世俗の度合いや宗派によって考えの違いが大きいことから、イスラム法(シャリア)と世俗法を並立させ、適用する法律を個人が選択する「複数民法制」も検討している。イスラム法の場合、女性からの離婚は認められず、相続も男性の半分になる。
同高官は「領土の統一、民主主義、連邦制などの原則が憲法に反映されることを望んでいる」と述べ、表記方法などの技術的な助言を中心にイラク側と緊密に協議していることを認めた。