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7日、閉鎖されたロンドンのキングズクロス駅入り口を警備する警察官 |
ロンドン中心部で7日午前起きた同時爆破テロで、ロンドン市は8日、死者が38人に達したと確認した。50人に上るとの情報も出ている。イスラム過激派による犯行との見方が強まりつつあり、ストロー英外相は「アルカイダの特徴がある」との認識を示した。英スコットランドのグレンイーグルズで開かれている主要国首脳会議(G8サミット)は予定通りの討議を続けたが、サミット期間中を狙った初めての大規模テロとして、衝撃は世界に広がった。
ロンドン警視庁などによると、公共交通機関を標的にした爆発が、ラッシュ時の約1時間の間に4回相次いで起きた。
午前8時51分(日本時間午後4時51分)ごろ、金融街シティー付近のリバプールストリート駅―オルドゲートイースト駅間の地下鉄車両で最初の爆発があり、7人が死亡。続いて同56分ごろにはラッセルスクエア駅―キングズクロス駅間の車両での爆発で21人、午前9時17分ごろには、エッジウェアロード駅構内の車両で爆発が起きて7人が死亡した。
同47分ごろには大英博物館に近いタビストックスクエアのバスが爆破され、ロンドン警視庁は2人が死亡したと発表。しかし、その後死者が3人になったと、市が認めた。
サルコジ仏内相は、英政府から聞いた話として「50人が殺された」と語った。タイムズ紙は死者を52人と伝えている。負傷者数は約700人に上っているとみられ、うち約45人が重体、とロイター通信は伝えている。
市内は厳戒態勢が敷かれ、地下鉄とバスは全域で運行を取りやめた。ロンドンでは平日、延べ300万人が地下鉄を、延べ630万人がバスを利用している。警察は市民に、不要な外出を自粛するよう呼びかけている。
G8サミットを中座しロンドンに戻り、安全保障上の危機の際に招集する緊急閣議に出席したブレア首相は7日午後、テロの実行者が「イスラムの名の下に犯行に及んだ」との見方を示した。ストロー外相は「アルカイダの攻撃であることを示す特徴がある」と言及した。G8サミットに国際社会の目がそそがれる政治的タイミングに合わせ、通勤客を無差別に狙う犯行の手口が、スペイン総選挙の直前を狙った04年のマドリードでの列車爆破事件と酷似している、との見方だ。
同時多発的に爆発物を使う手法は、03年イスタンブールで英国総領事館などを標的とした爆弾テロなどにも共通している。犯行予告を出さない点で、かつて英国でテロを頻発させたカトリック系過激派のアイルランド共和軍(IRA)とは異なる。
英警察当局はテロの現場から四つの爆発物を見つけ、「生物・化学兵器でない通常の爆発物」との見方を示した。米NBCテレビは、時限装置が発見されたと報じている。また、米ABCテレビによると、英捜査当局が米当局に対し、ロンドン市内で不発の爆弾2個を発見したと伝えた、という。
フランスのサルコジ内相は7日夜、英クラーク内相から「自爆テロとの情報はない」と聞かされたと、仏テレビで述べた。
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は英当局者の話として、地下鉄での爆発3カ所がいずれもタイマーによるもので、携帯電話などを使った遠隔操作ではない、と伝えた。車内に置いた包みに仕掛けた可能性があるという。バスの爆破について、自爆テロ犯が偶然爆発させたか、爆弾を持った犯人が別の標的に向かって移動中に早まって爆発させたとの見方が強まっていると、同紙は報じた。
テロ実行者は爆発物を周到に準備していたとみられており、ロンドン大キングズカレッジ防衛研究センターのクラーク所長は英ガーディアン紙に「数十人が数カ月にわたって準備した」との見方を示した。
警察当局に事前予告や事後の犯行声明は届いていないというが、「欧州アルカイダ機構秘密組織」を名乗るグループが7日、イスラム系ウェブサイトに「イラクとアフガニスタンでの虐殺に対する報復」「イスラム国家よ、今や英国の十字軍、シオニスト政府に対する報復の時だ」などとする犯行声明を出しており、関係機関が確認を進めている。
英国では、アルカイダの犯行との情報が英メディアで流されるにつれ、英国イスラム協会などに脅迫電話が殺到。同協会のアハメド・シェイク代表は「実行犯はイスラム社会をも脅かしている」と危機感をつのらせている。イラク戦争以来高まっている反イスラムの動きに拍車がかかることを懸念し、リビングストン・ロンドン市長は宗教や人種の違いを超えて団結を保つよう呼びかけた。
爆破テロで一時まひした公共交通機関はその後回復に向かった。8日、地下鉄は4線を除き運行する予定。バスも部分的に運行を始め、道路は渋滞税を免除しているものの、警察は車の乗り入れを自制するよう呼びかけている。航空機は通常運航しているが、セキュリティーチェックを厳しくする方針だ。
ただ、テロ現場付近の道路を封鎖するなど、ロンドン市内は厳戒態勢が敷かれたままだ。警察当局は、G8サミットのため応援に出していた1500人を首都に戻す意向を明らかにした。
同時爆破テロの前日には、2012年のロンドン五輪開催が決定したばかり。ロンドンの治安に大きな疑問符が突きつけられたことになる。