兵庫県尼崎市のJR宝塚線(福知山)の脱線事故を受けて、北側国土交通相は8日、全国の鉄道会社に、新型の自動列車停止装置(ATS―P)など、急カーブでの列車の速度を制御できる設備を義務づける考えを明らかにした。脱線した快速電車は制限速度を大幅に超える速度でカーブに入ったことが分かっており、カーブでの安全対策が必要と判断した。国交省は、設置を義務化する場所について条件を決めるとともに、財政支援策を検討する。
北側国交相は同日のテレビの報道番組などに出演し、「今回の脱線の主原因はカーブでの速度超過。福知山線のATSは旧型で、6月に導入予定だった新型ATSならば事故を防げた可能性が高い」と語った。
国交省によると、ATSは主に赤信号から先に列車が進まないように自動ブレーキをかけるもので、多くの鉄道会社が旧型を設置している。
カーブでも速度を制御できる新型を導入しているのは首都圏のJR、大手私鉄などで、新幹線などは、より高機能の自動列車制御装置(ATC)を備えている。旧型でも機能を改良すると、急カーブに速度超過のまま近づいた列車にブレーキをかけることができるが、JR東海や西日本の一部の路線などにとどまっている。
宝塚線は旧型で、6月に新型に切り替える予定だったため、JR西日本は改良していなかった。
国交省は今後、各社のATS機能を調査し、設備の設置を義務づける路線や、カーブの条件などを絞り込む。
新型ATSの導入には、距離によって億単位の資金が必要とみられ、旧型の改良でも、カーブごとに1台約100万円の装置を置く必要がある。このため国交省は、税制面での優遇措置や助成制度も検討する。
また、北側国交相はこの日、運転士の適性や技能を一定期間ごとに検査する外部機関の設置と、同省航空・鉄道事故調査委員会の機能強化にも取り組む考えを示した。
運転士は国家資格で、主な鉄道各社は国の基準に準じた独自の試験を課している。しかし、養成方法は各社任せで、北側国交相は「健康面も含めて一定の基準でチェックする機関が必要だ」と指摘した。