JR宝塚線(福知山線)の快速電車の脱線事故で、事故を起こした207系車両が導入された際、高速走行時の横揺れのしやすさを指摘されていたことが、関係者の証言でわかった。JR西日本は03年のダイヤ改定で宝塚線などの高速走行区間を増やしたのに合わせて車両を改造し、横揺れ防止装置を取り付けていた。兵庫県警捜査本部(尼崎東署)は、車両の特性と横転の関係について、近く専門家に鑑定を依頼するなど、本格的な検証を始める。
同社は91年3月、宝塚線の直線区間の制限速度を時速100キロから120キロに引き上げ、93年には時速120キロ走行が可能な207系車両を投入した。
207系はもともと通勤用の普通電車(各駅停車)を想定して開発された。軽量ステンレス製で、輸送人員を増やすため車体幅をそれまでの2.8メートルから当時の在来線で最も広い2.95メートルに広げた。高速走行時には安定を欠き、JR宝塚線の運転士も「時速120キロまで速度を上げると、あまりに横揺れがひどかった」と証言している。
JR西日本は03年12月のダイヤ改定により、宝塚線で快速の停車駅を一つ増やす一方、所要時間をほぼ据え置いた。運転士は直線で時速120キロを出す距離や時間が増えたという。
このため、同社は高速走行時の車両の安定性を増す対策として、車体下部の台車に「ヨーダンパ」と呼ばれる油圧式の横揺れ防止装置を設置し、「揺れがだいぶ収まった」(同線の運転士)という。
捜査本部は、乗客全員を対象に聞き取り調査を進めており、生存している約600人中200人以上の聴取を終えた。その結果、複数の乗客が「つり革につかまってもきちんと立っていられないほど(の揺れ)だった」と証言。出勤中に乗り合わせたJR西日本運転士も「カーブ約70メートル手前の名神高速道路付近からガタガタと横揺れを感じ、地震が発生したかと思った」と話している。
捜査本部は、脱線前に、ヨーダンパでは抑えきれない横揺れが車両に生じた可能性があると判断。車両の特性と脱線の関係を確認する方針だ。
一方、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は「車体が(カーブ外側へと)先行し(て傾き)、台車を引きずるようにして横転した」という見方を示している。
新潟大学工学部の谷藤克也教授(車両力学)は「車体の揺れに、カーブに入って車両の上部が下部より大きく揺れる『ローリング』が重なり、そこに速度超過による遠心力が合わさって横転に結びついた可能性もある」と見ている。