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乗務終了後、列車の行き先名などを確認する運転士=10日午後6時18分、JR大阪駅で |
JR宝塚線(福知山線)の脱線事故後、JR西日本の乗務員を狙った悪質な嫌がらせ行為が相次いでいる。同社が8日までに確認できただけでも、120件に上る。事故当日のボウリング大会開催など一連の「不適切な行為」(同社)の発覚直後には、女性運転士がホームでけられてけがをする傷害事件も発生。レール上に石などが置かれる事件も多発しており、同社の3労組は10日、安全運転に協力を求める異例の共同声明を出した。
同社によると、120件の内訳は暴行・傷害2件、職務妨害18件、乗務員が「暴言」と感じた行為100件。
脱線事故が起きた4月25日午後9時すぎ、大阪駅の神戸線ホームで乗務予定の電車を待っていた20代の男性運転士に向けて中身が入った清涼飲料水の缶が投げつけられた。運転士にけがはなかった。
天王寺車掌区の社員らが事故当日にボウリング大会を開いていたことが発覚した後の今月6日午前9時半ごろには、同じ神戸線のホームで乗務を終えて電車を見送っていた20代の女性運転士が背後から足首をけられて軽傷を負った。本人から被害届を受けた大阪府警が傷害容疑で捜査している。
無言の抗議が運転士にとっては大きなプレッシャーになっている行為も続発。事故から2日後の4月27日、大津駅に入った電車の運転席後ろのガラスに「命」と書かれた紙がはられているのを運転士が発見。同日、大阪駅に着いた別の電車にも同じ字が書かれた紙が逆さにはりつけられているのが見つかった。
乗客に「人殺し」と言われるなど、乗務員が暴言と感じた行為も後を絶たないほか、レール上に石や自転車などが置かれる列車往来危険容疑事件も今月8日までに計23件起きているという。
こうした行為に対し、同社は「乗務員が動揺して運転に支障が出るおそれがある」と判断。9日、社員のメンタルケアを専門にした電話相談窓口を設けた。
10日夕、帰宅ラッシュで混雑する大阪駅で乗務を交代した男性運転士は「事故前よりも緊張し、肩が凝るようになった。平常心を保つように努めています」と話した。
一方、同社最大労組のJR西労組など3労組のまとめでは、7日現在の嫌がらせ行為は180件を超えた。
4月27日には、京都電車区の20代の女性運転士が事故の救出状況を報じた新聞を突きつけられたり、運転中に別の乗客から「JRは人殺しだ」と言われたりした。女性運転士は精神的苦痛を訴えて4日間の休暇を取り、復帰した今も内勤をしているという。
このほか、「運転する様子をビデオ撮影された」「速度計の表示を大声で読み上げられた」と、事故前なら気にならなかった乗客の行為に過敏になっている運転士もいるという。
3労組の幹部の一人は「批判は甘んじて受けるが、乗客の生命をおびやかすことにつながる行為は許されない」と話している。