JR宝塚線(福知山線)の脱線事故で、JR西日本の車掌や運転士らでつくる親睦(しんぼく)団体のメンバー39人が事故当日の4月25日夜、兵庫県篠山市のリゾート施設で宴会とカラオケをしていたことがわかった。このうち31人はそのまま宿泊した。出席者には事故現場を管轄する大阪支社の社員が多く含まれ、当時、全員が重大事故が起きていたことを認識。冒頭に犠牲者に黙祷(もくとう)をささげたうえで宴会を挙行したという。会には地元の国会議員も招かれていた。企画したメンバーらは「犠牲者の遺族や負傷者の感情を考えると、申し訳なく思う」と話している。
JR西日本本社は、天王寺車掌区のボウリング大会など、職場の催しや会合については役員らが謝罪しているが、今回のケースについては社員の私的な会合だったとして会社としての調査や謝罪の対象外としている。6日に発表した社員らの「不適切な行動」の事例にも入っていなかった。
出席者によると、この親睦団体は同社の車掌や運転士、駅員、OBら50人程度で構成する「丹波群団会」。事故現場を抱える大阪支社の大阪車掌区に所属する社員が約6割を占める。事故があった福知山線沿線にある篠山市や隣の丹波市に住んでいたり、出身だったりする社員らが多く所属し、年に1回泊まりがけの懇親会を催している。
事故現場から約58キロ離れた篠山口駅が最寄り駅となるリゾート施設には当初、同会から42人分の宿泊予約があったが、幹事役のメンバーから事故当日の昼ごろ、「事故の関係で来られなくなった人がいる」と連絡があり、34人分に変更された。午後6時ごろから宿泊棟2階の大広間で宿泊しないメンバーを加えて宴会が開かれた。参加者は全員現職の社員だった。
宿泊棟のロビーのテレビでは当時、事故を伝えるニュースが流されていた。宴会では冒頭に参加者全員が黙祷したが、その後2時間以上、ちゃんこ鍋を囲んでビールや焼酎を飲んだ。席上、増え続ける犠牲者や信楽高原鉄道の事故の話題も出たという。2次会は、カラオケルームを借りて約2時間行われ、カラオケを歌う人もいた。
宴会の前に参加予定者の一部から「予定通りやるのか」との声が出たが、幹事役らが「年に1回の行事だからやろう」と開催を決めたという。幹事役の一人は「鉄道マンとして判断の甘さがあった。反省している」と話した。
会には、篠山市出身の梶原康弘衆院議員(48)=民主、比例区近畿ブロック=も出席していた。丹波市内の友人の車掌から1カ月以上前、宴会に誘われたという。席上、「復旧を急ぐとともに、利用者の信頼回復のためにJRとして頑張ってほしい」とあいさつ。自身もビール1本程度を飲んで1次会の最後までいたという。
朝日新聞社の取材に対し、梶原議員は「会場に着くまで大事故とは知らなかった。こういう時に宴会をやるのかという思いはあったが、JRの公的な会合ではなく、私的な会合と聞いていたので参加した」と説明。そのうえで、「地元で多くの犠牲者が出ていた日にJR社員らと酒を飲んでいたことは、遺族感情を考慮すると、国会議員として結果的に軽率だった」と話している。
JR西日本は事故後の「不適切な行動」について、「全職場で自己申告を呼びかけて調査を徹底した」と説明している。出席を取りやめた管理職は、宴会があったことを会社側に報告していたが、公表の対象になっていなかった。
これについて、同社広報室は「(会合を開いた団体は)会社内部の組織ではない。あくまでもプライベートな問題で、会社として把握するものではないと考えている」とコメントしている。