|
ドンドンと下から突き上げる衝撃が、夕暮れの越後地方を襲った。耐えられずにしゃがみ込む人たち。16分後、そして38分後にも。新潟県中部を中心に23日、震度6強の地震が3度続いた。走行中の上越新幹線が脱線し、建物の壁面が崩れ落ちて死者が出た。民家に上がる火の手、道路に走る亀裂。時とともに被害の報告が広がる。市民は繰り返す余震におびえる夜を過ごした。
■十日町市
自営業金崎昌彦さん(34)が崩れてきた壁の下敷きになって死亡した新潟県十日町市宇都宮の雑居ビル「娯楽会館」では、ビル北側の3階と4階の壁面が約20メートルにわたって崩れ落ち、骨組みがむき出しになった。
入り口付近には崩れ落ちたコンクリート塊が散乱した。周辺は停電で暗く、明かりはビル前の道路を通行する車のライトだけだ。
4階建てで、映画館やボウリング場、スナックなどが入る。金崎さんは1階のスナックで飲食中に激しい揺れで店外に逃げた際、崩れ落ちてきたコンクリートの下敷きになったらしい。近くの男性(63)によると、住民が協力してがれきを取り除き、立て看板を担架代わりにして金崎さんを近くの駐車場に運んだという。男性は「自分の家の中もめちゃくちゃになったが、助けるのに必死だった」と話した。
県立十日町病院では医師らが非常招集され、3回目の余震の段階で、2階以上の患者を1階に避難させた。救急車がひっきりなしに到着し、地震でけがをした人が続々と運び込まれた。伊藤雅之医師は「重病の患者も呼吸器をつけたまま看護師と1階に運んだ。地震によるけが人も60人以上収容したはずだが、十分な治療ができない」。
1階の受付ホールや廊下は、入院患者やけが人であふれた。入りきらない人は外にソファを置いて寝かせた。毛布の数が足りず、アルミホイルを巻き付けて寝ている子どももいた。
■小千谷市
震度6強が2度襲った新潟県小千谷市の小千谷署は、混乱状態となった。電話に出た署員は「がけ崩れの情報が入っている。揺れが続いて、署内はモノが散乱している。火災の通報はない」とあわただしく話した。
同市によると、市内塩谷で家が倒壊し、7人が行方不明になった。救助機関が現地に入れず、地元の人たちが救出にあたった。市に入った情報によると、子ども3人が遺体で見つかったという。
同市吉谷では午後11時ごろ、倒壊した民家から、60歳代の男性が救出された。救助の様子をみていた知人の女性によると、5時間かかって地元の消防隊員たちに救出された。女性は「がれきで覆われて救出には時間がかかった。意識はあったが、足を骨折したようだった」とほっとした様子で話した。
現場周辺の民家十数軒のほとんどが全壊または半壊の状態だった。
■長岡市
行方不明者2人が出た長岡市濁沢地区。集落の4軒が倒壊し、3軒から火が出ている。うち1軒に住む母と息子の行方が分からなくなった。
行方不明者が出た住宅は、すぐ上の住宅の下敷きになっており、屋根の破片やプロパンガスのボンベが粉々に砕け散って散乱している。24日午前1時過ぎ、救出のめどは立っていない。
震度6弱を記録した同市内のJR長岡駅前の大型店では、買い物客でにぎわっているところに、強い揺れが襲った。
「『キャー』と悲鳴が上がった。立っていられず、みんなしゃがみ込んだ。どうしていいか分からなかった」。1階にあるクリーニング店の女性店員(24)は青ざめた。
ひどいときは、数秒おきに、揺れがくる。店側は状況が分かるまで座るように伝え、買い物客らは買い物かごを手に床にしゃがみ込んだ。
長岡市の長岡中央総合病院では、約100人の負傷者が運ばれた。
院内は水道管が2カ所破裂し、棚の書類や薬品が散乱、透析治療などができない状態という。
約450人の入院患者のうち、約300人が避難のため1階のロビーで一夜を過ごした。同市の別の男性(63)は「突き上げられるような揺れで、ベッドから落ちそうになった。あちこちから物が落ちてきて体にあたった。怖くて寝られそうにない」と疲れた様子で話した。
(04/10/24)
|