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《にっぽんの争点:子育て》新「手当」か 幼児無償化か

2009年8月18日

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 少子高齢化が進む中、各党が力を入れる子育て支援。自民党は幼児教育の無償化、民主党は「子ども手当」創設を目玉に掲げる。

 民主党の「子ども手当」は、中学校卒業まで子ども1人当たり月2万6千円(10年度は半額)を支給する。所得制限は設けない。

 一方で、小学校卒業まで支給する現行の児童手当(所得制限あり)、所得税の配偶者控除と、0〜15歳の子どもがいる場合などの扶養控除は廃止する。

 大和総研の是枝俊悟研究員が、共働きか専業主婦(夫)、年収300万〜2500万円、大学生以下の子ども0〜2人という条件を組み合わせた240ケースについて、導入された場合の家計への影響を試算した。

 中学生以下の子どもがいる世帯では年8千〜58万6千円の収入増となった。メリットが最も大きかったのは、年収300万円程度の世帯と、所得制限で児童手当を受け取っていない800万〜1千万円程度の世帯だ。

 例えば、中学生と小学生がいる専業主婦(夫)世帯では、年収300万円なら年50万9200円の収入増。年収が高くなるほど増加幅は縮まり、年収600万では45万2400円増、年収800万円では33万6千円増。年収900万〜1千万円で39万6千円増と増加額がいったん上がった後、再び増加幅が縮まり、2500万円では16万8千円増となる。

 一方、専業主婦(夫)世帯のうち、(1)子どもがいない(2)子ども1人で高校生以上(3)子ども2人で高校生以上――の場合は、大半の世帯で負担増となり、その額は年1万9千〜15万2千円。

 共働き世帯で子どもがいないか、高校生以上の場合は影響はなかった。

 直嶋正行政調会長は「社会全体で子どもの育ちを支援する。両親の収入に関係なく、子どもに直接支援するとの考えだ」と理解を求める。

 公立高校の授業料無償化も10年度から実施する。私立高校の生徒がいる世帯にも12万円、低所得世帯には24万円を助成する。

 自民党は小学校入学前と高校を中心に、低所得者対策を前面に出す。現在の児童手当は維持しつつ、3〜5歳児の幼稚園・保育所の教育費を無償化する方針だ。

 厚生労働省と文部科学省によると、認可保育所の保育料は全国平均で年約32万円、幼稚園は公立が年約7万8千円、私立が約24万7千円。こうした負担を段階的に軽減し、12年度からゼロにする。

 子育て世帯の経済負担の軽減にも配慮した低所得者支援策として「給付付き税額控除」を導入し、課税世帯には税額控除、非課税世帯には現金を給付する。ただ、制度の詳細設計は示されていない。小渕少子化担当相は「自民党はバラマキではなく、必要なところに必要な予算をしっかり確保する」と説明する。

 多くの政党が打ち出しているのが、認可保育所に入れない待機児童の解消だ。

 働く女性の増加に伴って、保育ニーズは高まっている。認可保育所は都市部を中心に空きがなく、待機児童は約2万人(昨年4月)にのぼる。

 自民党は、17年までに認可保育所などの受け入れ児童数を100万人増やす新待機児童ゼロ作戦(福田政権が08年策定)に基づき、「安心こども基金」(計2500億円)を活用して保育所整備などを集中的に進めるとする。

 民主党は、保育所は厚労省、幼稚園は文科省といった縦割り行政を改め、子どもに関する施策を一本化する「子ども家庭省」の設置を検討する。

 国民新党は自宅を離れて暮らす大学生へ仕送りをする家庭に対する減税制度の創設、新党日本は乳幼児から高齢者まで毎月一定額を配る「最低生活保障」の導入を掲げる。

■少子化、欠ける具体策

 民主党の子ども手当創設には年5.3兆円が必要だ。現行の児童手当の廃止で浮く公費負担分約8千億円と、配偶者控除と扶養控除の廃止による約1兆6千億円をあてるほか、無駄遣いの根絶などで捻出(ねんしゅつ)するという。

 ただ、手当の使い道をチェックする仕組みはなく、本当に子育てのために使われるかは分からない。これは、現行の児童手当も同様だ。

 控除廃止で子どもがいない専業主婦世帯などで負担増となる。自民党からは「負担増を強いられる国民がいることをどう考えるのか」という批判が相次ぐ。

 民主党の推計では、子どもがいない65歳未満の専業主婦世帯で負担増になるのは全世帯の4%未満。ただ、高校生以上の子どもがいる世帯など、試算で負担増になると指摘された世帯の割合は示していない。

 民主党は「公立高校の授業料無償化などで増加分は相殺される」と説明するが、来年度から実施するのならば、短期間で国民的なコンセンサスを得なければいけない。

 このほか、公立高校の授業料無償化などに9千億円、出産育児一時金(10月から42万円)の55万円への引き上げに2千億円を必要とする。

 自民、公明両党が掲げる幼児教育無償化には、対象を認可保育所・幼稚園に限定しても約7900億円かかる。両党は、景気回復を前提として11年度までに消費税引き上げを含む税制の抜本改革を行い、翌12年度から完全無償化を実施するとしている。無償化の対象に、無認可保育所をどこまで含めるかは、まだ決まっていない。

 ただ、少子化対策に求められるのは、経済支援だけではない。少子化の大きな要因は、「仕事か子育てか」という二者択一の構造だからだ。仕事と子育ての両立を可能とするには、安心して子どもを預けられる保育サービスの拡充と、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現が「車の両輪」だ。

 厚労省の試算では、子どもを預けて働きたいと考えている潜在的ニーズに対応するには、保育所などの受け入れ児童数を今よりも100万人、放課後の小学生を預かる学童保育は145万人増やさないといけない。しかし、量の拡大などに関する目標値や期間、予算規模など具体的な計画を示している政党はない。

 ワーク・ライフ・バランスの実現について、長時間労働の是正、育児休業の取得促進などを掲げる政党はあるが、「代替要員の確保が難しい」という企業側の姿勢をどう変えるのかには触れていない。

 このまま少子高齢化の傾向が続けば、55年の人口は現在より4千万人少ない9千万人、65歳以上が人口に占める割合は2倍の4割になると見込まれる。

 子育て支援に詳しい恵泉女学園大学大学院の大日向雅美教授(児童福祉論)は「子育て支援は若い世代のためだけでなく、すべての日本人にとって重要な課題。保育サービスが充実すれば、出産後も働き続けられる人が増える。税や保険料を負担する層が確保でき、持続可能な社会保障制度の構築にもつながる」と話す。

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