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「国の行方」争点に浮上 都知事選

2007年04月07日03時03分

 8日に投開票を迎える統一地方選の前半戦。最も注目を集めるのは、やはり、全国最大の自治体の長を選ぶ東京都知事選だ。あと1日を残すばかりとなった選挙戦を通じて浮かび上がってきたのは、日本全体に通じるような論点だった。

 ○憲法・日の丸…対決色

 14人が立候補した中で、3選をめざす現職の石原慎太郎氏の最大のライバルは前宮城県知事の浅野史郎氏。選挙戦中盤から2人の舌戦は、外国人問題や憲法、日の丸・君が代などをめぐり、「保守対リベラル」といった対決色が深まった。

 石原氏は3月30日、東京・池袋駅前で演説した。「六本木に行ってごらんなさい。アフリカからじかに来た英語もしゃべれないような連中が、とにかくあんまり良いことはしていない。政府が入国管理をもっとしっかりしてくれないと困る」

 対する浅野氏は28日、八王子駅前での演説でこう説いた。「知事の資質で重要なのは法律、憲法を守ること。憲法はアメリカが作ったんだから無視していいなんて言う知事は、地方公務員法違反なんですよ」

 日の丸・君が代でも2人は批判し合った。

 石原氏「浅野さんを応援してる方は、東京でその問題を起こした方々でね」(30日の会見で)

 浅野氏「日の丸・君が代をやらないと先生は処分される。この8年で東京の教育現場から自由な雰囲気がなくなった」(25日の演説で)

 「本籍地は福祉」という元厚生官僚の浅野氏は、マニフェストに福祉施策を手厚く掲げ、当初は護憲の訴えなどはなかった。ところが、石原氏がディーゼル車規制や低所得者の都民税減免など福祉と環境にも重点を置く方向にシフト。このため、浅野氏らの側は政策の対立軸を作りあぐねていた――と、東京大学の神野直彦教授(財政学)は分析する。

 当初は五輪招致などをめぐる政策論争が想定された。が、浅野氏は当初「立ち止まって考え直す」と反対を明言しなかった。この時点で対立軸がぼけたとジャーナリストの上杉隆さんも見る。

 石原氏はもともとタカ派的な言動で知られた。浅野氏は25日の街頭演説で「選挙をやっていて私と石原さんの違いは何なんだろうと考えた」と切り出し、「私は人権知事だ」と結論づけた。新たな対立軸を求めた結果、「保守対リベラル」といった構図が浮上した形だ。

 ○地方の疲弊感、どう解消

 もう一つ浮かび上がってきたのは、日本の中心として「強い東京」を目指すかどうかの論戦だ。

 「東京には政治・経済の中枢が、半径1.5キロ以内に機能的に配置されている。集中・集積のメリットを最大限活用すべきだ」と、石原氏はホームページに記す。五輪招致も、3環状道路などの都市基盤整備につなげる構想だ。

 これに対し、浅野氏を支援する民主党の菅直人代表代行は「石原都政は強い者のための都政、東京が一人勝ちで何が悪いという発想」(28日)と批判した。黒川紀章氏も「東京一極集中による金もうけ主義脱却のため、首都機能の一部移転を進める」。吉田万三氏も、大企業よりも中小企業支援による地域経済活性化を訴える。

 東京以外の知事選や5日に告示された参院沖縄・福島補選でも、「地域間格差の是正」は大きなテーマだ。東京に比べ景気拡大から取り残された地方の疲弊感は強い。

 石原氏の「強い東京で日本を引っ張ろう」という路線は、「人と物資と資金を成長分野に集めて成長率を上げる」という安倍政権の「底上げ」路線と相似形をなす。しかし、神野教授は「東京が富めば地方も潤うという構造は、地方交付税と公共事業削減によって、すでに切られてしまった」とも指摘する。

 都道府県レベルの選挙での選択だけで解消できない宿題は、夏の参院選に積み残される。


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