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〈0.71の現場から:1〉若者流出 打てぬ有効策

2007年07月07日

 人口1万人未満の小規模自治体の解消――。今月3日、首相官邸で発足した第29次地方制度調査会で焦点となる議題だ。「平成の大合併」をへた今も、その対象となる自治体は県内に7町村ある。

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若者の定住促進を狙って建てられた賃貸住宅=若桜町浅井で

 日吉津村は県内最少の人口で約3200人。しかし、財政力指数は1.02(03〜05年度平均)で県内一の豊かな財政力だ。村内にある王子製紙とジャスコの固定資産税などによるものだ。

 一方、兵庫県境にある若桜町の財政力指数は0.15(同)で県内最低だ。同町では、かつて林業と農業が基幹産業だった。しかし、林業は衰退し、農業も担い手が減り、100人以上が働く雇用の場もない。町人口は60年の9616人をピークに、今や4500人を割り込む。自然減に加えて若者の流出が続き、高齢化率も37%を超す。

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 旧八頭郡(智頭町、八頭町、若桜町、鳥取市用瀬町、同河原町、同佐治町)を所管する郡家公共職業安定所の有効求人倍率は、県内に五つある職業安定所の中でも最低だ。4月は0.38倍。全国平均1.05倍を下回る全県の平均値0.74倍をも大きく下回る。同職業安定所によると、管内には新卒採用をする企業はほとんどない。

 中国などとの国際競争にさらされる縫製業の衰退や、公共工事の削減で受注が減る建設業の落ち込みが激しいという。

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 若桜町は、若者の流出を食い止めようと、国の過疎債を使って家賃が安い賃貸住宅4棟計24戸を00年度から03年度にかけて建設した。家賃は2万5000円。子どもが3人以上いれば割り引かれて1万円まで値下げされる。現在、24戸のほとんどがうまっている。同町の渕見龍彦・総務課長は「若者流出の速度をゆるめる効果はあった」と話す。

 03年からは、町にずっと住み続けてもらうため、賃貸から分譲への誘導を進めようと、宅地の販売も始めた。「若桜鉄道と国道29号で、鳥取市までの通勤時間が約40分」とアピールし、約3.3平方メートル4万円で29区画を売り出したが、これまでに売れたのは7戸。企業誘致も試みるが、撤退した工場跡地に茶葉のばいせん工場を04年に誘致できただけだ。

 町は04年、現在の八頭町(合併前の郡家町、八東町、船岡町)との合併協議から離脱し、単独で生き残る道を選択した。現在は職員の定数削減など行財政改革を進めており、定住促進に振り分けられる予算の余裕はない。「定住促進は税収増に直結する。単独行政を続けるうえでも必要な施策だが、施策を打ち出そうにもお金がない」と渕見総務課長。

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 30年後の県人口は今より10万人減り、50万人を切ると予想されている。高齢化率も34%を超す見通しだ。過疎と高齢化で税収が縮む地方と、好景気に沸く都会の税収格差を埋める手立てがとられなければ、今の若桜町の姿は将来の県の姿になるかもしれない。

 今年3月時点の県内有効求人倍率は0.71倍。03年9月の0.70倍以来の低水準となり、1.03倍の全国平均を大きく下回った。「戦後最長の景気拡大」を実感することができない地方でも、「天下分け目の戦い」とされる選挙戦が繰り広げられる。問われているのは何か。格差社会の現場から報告する。

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