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投票終了、繰り上げ半数 津は合併で一律1時間

2007年06月20日

 今夏の参院選で、午後8時の投票終了時間を繰り上げる投票所が三重県で急増し、全938投票所の半数以上の490に達することが、朝日新聞の調べでわかった。市町村合併に伴い、終了時間の早い旧自治体に合わせる例もあり、全29市町のうち津市など12市町は全投票所で繰り上げる。専門家からは「できるだけ投票の機会を確保すべきだ。安易に繰り上げるべきではない」との指摘も出ている。

 投票時間については、低落傾向の投票率向上を狙い、98年6月施行の改正公職選挙法で、原則、「午前7時〜午後6時」だったのが、「午前7時〜午後8時」に2時間延長された。

 ただ、同法は、特別な事情がある場合は変更を認めており、地方分権一括法を受けて同法が改正された00年4月以降は、市町村選管が都道府県選管に届け出るだけで変更できるようになった。実際、繰り上げ投票所は増加傾向で、三重県内の参院選でも、98年が14、00年補選が45、01年が217、04年が245。今回は04年の2倍で全体の52%に及ぶ。

 06年1月、旧10市町村が合併した津市(有権者数約23万人)は今回、全125投票所で投票終了を1時間繰り上げる。合併前の04年参院選では、計132投票所のうち、繰り上げは2時間の旧芸濃町(投票所5)と1時間の旧安濃町(同4)、旧美里村(同3)、旧美杉村(同15)の旧4町村、27投票所だけ。残る旧6市町の105投票所は午後8時まで投票できた。

 04年当時の当日有権者数は、繰り上げた旧4町村は2万5933人、繰り上げなかった旧6市町は20万2583人。旧芸濃町は1時間延長になるが、計算上、9割近い有権者が、投票時間を1時間奪われる計算になる。

 今回、全投票所で1時間繰り上げることについて、津市選管は「市域が広がり、遠隔地から投票箱を運ばなければならない。午後9時半から開票を始めるには繰り上げざるを得ない。期日前投票は午後8時まで実施している。同じ市内で違うのは不公平で、繰り上げは市民の理解も得られると思う」と説明する。

 04年11月に合併した伊賀市も全99投票所で午後7時に繰り上げる。合併前の04年参院選の際は、合併した旧6市町村で繰り上げは遠隔地の2カ所だけ。市選管は「他の自治体もやっている。開票結果を早く出す方が重要だ」。そのほかの市町選管は「夜間は投票が少なく、投票率への影響もない」などを繰り上げの理由にあげることが多い。

 一方、神島、菅島、坂手島、答志島の離島を抱える鳥羽市は、全26投票所のうち、神島の1投票所で2時間繰り上げる以外、3島の5投票所は午後8時まで。4島とも投票箱は定期船の最終便に間に合わないため、チャーター船で運ぶ。荒天に備え、県の防災ヘリも用意する。市選管は「終了時間を早める方が楽だが、住民サービス重視の流れに逆行する」と話す。

 投票時間繰り上げについて、総務省は「有権者に支障がないという『消極的動機』に加え、有権者の利益になる『積極的動機』が必要」との見解だ。「期日前投票をやっているだけでは積極的動機とは言えず、有権者の投票の機会を制限しかねない」(選挙部)と指摘する。三重県選管も「市町選管に『慎重にしてほしい』とお願いしているが、権限上、やめてとは言えない」としている。

 ○早く終わらせたいだけでは

 寺川史朗・三重大准教授(憲法学)の話 選挙管理委員会は本来、投票者のために尽くすべきなのに、投票時間の繰り上げは単に早く開票作業を終わらせたいだけに見える。選管の中には「期日前投票を利用して欲しい」との主張もあるが、期日前投票はあくまで例外だ。安易な投票時間の繰り上げは、有権者が不都合なく投票できる機会を確保すべきだという憲法学上の定説にも反する。

 〈投票時間繰り上げ〉 投票時間は公職選挙法で、午前7時から午後8時と定められているが、例外的に市町村選管の判断で変えることができる。04年参院選では、全国5万3291の投票所のうち21.5%の1万1457投票所で繰り上げた。三重以外でも増加傾向にあり、今回の参院選では、岐阜が929投票所のうち23.7%の220、愛知が1828投票所のうち1.3%の24で繰り上げる予定。

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