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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com> 2007参院選> 地方ニュース> 愛媛> 記事 〈争点を歩く:下〉温暖化 ミカンの品種転換へ2007年06月29日 皮はブカブカだし、色が付かない――。宇和島市石応のミカン農家藤田虎一さん(64)が畑の温州ミカンの異常に気付いたのは5年前だ。最も出荷時期の早い温州ミカンの「極早生」で緑色の皮がオレンジ色になるのが遅れ、外側の皮が浮く「浮皮」が頻繁に見られるようになった。
「温暖化が原因かもしれないと聞き、ぞっとした」と藤田さん。かんきつ類の新品種や栽培技術を研究している県立みかん研究所(同市吉田町)によると、宇和島地域の年平均気温はこの50年で1度上がった。同研究所の高木信雄所長(58)は「年平均では1度でも、1月だけを見ると2.5度ほど上がっている」と話す。ミカンの着色には昼夜の温度差が必要だ。冬が暖かくなると、着色は悪くなる。 皮と身がしっかりくっついた状態になるためにも、寒さによる「寒締め」が必要だ。皮は収穫時期に高温多雨になると、栄養が果実でなく皮に回ってしまう。皮だけが成長し、身と皮の間に空気が入ってブカブカになる。糖分も皮に回り、味も落ちる。 ◇ 「農薬が効かんのやけど……」。宇和青果農協には最近、こんな相談が農家から増えた。 寒い冬が短くなり、春と秋の期間が長くなったことで害虫の活動期が延びたり、以前と違うサイクルで発生したりしている。農薬をまいた時には、すでに効果が得にくいほどに害虫が大発生していたこともあった。 高木所長は「愛媛のミカンは転換期に来ている。温暖化が進めば、ふぬけのミカンはますます増える」と話し、温暖な気候に強い品種への切り替えを農家に呼びかけている。 ◇ 国は05、06両年度に「かんきつ園地転換特別対策事業」を実施した。温州ミカンなど従来型の品種から「不知火」「せとか」などの高級かんきつへの転作を促すことで、国の補助を受けなくても農家が自立できるようにするためだ。 この事業を受け、県内では両年度で計約130ヘクタールの転作が計画され、2億8000万円の補助金を国に申請している。 藤田さんも約150アールあった温州ミカンの畑のうち、約125アールを高級品種で温暖化にも強い「せとか」や「デコポン」などの品種に切り替えた。 かんきつは苗木を植えてから収穫まで平均5〜6年かかり、この間、農家は収入を得ることが出来ない。藤田さんは夫婦2人の年金生活で、子どもはすでに独立している。しかし、子どもを学校に通わせるなど、まとまった金が必要な若い世代の農家では、品種の切り替えを迷っている人が少なくない。 藤田さんは「農家の後継者が温暖化に悩むのは気の毒。愛着のある温州ミカンは残したいが、このままでは飯は食えない」と話した。 ◇ 参院選に向けて各党が温暖化防止策をマニフェストなどに掲げている。 「地球温暖化対策推進法を抜本的に見直すとともに、財源の確保を十分に図る」(自民)▽「再生可能エネルギー導入の強力な推進、地球温暖化対策税の導入、環境外交の促進など」(民主)▽「京都議定書の目標を達成し、日本の中長期の温暖化ガスの削減目標を明らかにして、世界の温暖化抑制に貢献」(共産)……。 温暖化に歯止めがかからず、気温がこのまま上昇を続ければ、「ミカン王国」を支えた温州ミカンは県内から姿を消すことになるのかも知れない。 ![]() |
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