自民党の地滑り的大勝を象徴するような前代未聞の珍現象が比例東京ブロック(定数17)で起きた。重複の候補者が小選挙区で大量当選したため、名簿登載者が不足し、比例区で獲得したはずの議席を社民党に譲る結果になった。
「おまけ、サービスだよ」。自民党の東京都連幹部は「議席が他党にいくのは残念。もっと比例区に候補者を出しておけばよかった」と悔しがりつつも、余裕を見せた。
比例区の当選者は、「ドント式」という計算方式で決まる。各党の得票を1から順に整数で割って得られた値である「商」が大きい順に議席が割り振られていく。この計算で自民党は東京ブロックで8議席を獲得するはずだった。
自民党は、東京ブロックで30人の候補を名簿に載せた。まず、比例区単独で名簿順位1位の猪口邦子氏(53)が当選した。続いて、いずれも名簿順位3位までに重複立候補した24人のうち23人が小選挙区で次々と当選。東京18区の土屋正忠氏(63)だけは民主前職の菅直人氏(58)に敗れたが、比例区で復活当選した。さらに、順位26位以下の5人の比例単独候補が全員滑り込んで7議席を埋めた。この時点で名簿に載っている候補がいなくなり、1議席が宙に浮く形になった。
候補を追加することは認められておらず、公職選挙法の規定でこの1議席は得票数に従って社民党に割り振られることになった。恩恵を受けたのは社民元職の保坂展人氏(49)。保坂氏は「信じられない気持ちだ。与党の圧勝体制のほころびをどうつくか。党のみんなと考えたい」と話した。
総務省選挙課によると、こうした事態は、96年10月の総選挙から導入した「小選挙区比例代表並立制」で初めて。