現在位置:
  1. asahi.com
  2. 北京五輪2008
  3. 競技別
  4. 柔道
  5. 記事

自分の柔道は、戦い 孤高の寂しさ胸に秘め 石井21歳

2008年8月16日1時46分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

拡大 マークの写真や図はクリックで拡大します

写真拡大男子100キロ超級で金メダルを獲得し喜ぶ石井慧=岩崎央撮影

(15日、柔道 男子100キロ超級) 

 決勝だけ一本を取ることができなかった。それでも先に攻めて、無尽蔵のスタミナを武器に動き回る。バテた相手に何もさせず「指導」二つで勝った。

 21歳の五輪王者は胸を張った。「自分の柔道です。完全に勝ちにいきました」

 そり上げた頭に細い目を光らせる若者は、徹底した勝利へのこだわりを突き刺すような言葉で口にしてきた。

 「美しい技がいいのなら、体操競技にいけよ」

 「柔道はルールのあるけんかだ」

 斉藤仁監督は「あいつの目は土佐犬のようにギラギラしている」と言う。殺気立つ野武士の空気を身にまとう。

 試合を終えた石井は言い放った。「自分はスポーツをやっていない。戦いだと思っている」。不振続きの男子陣に最も足りない気迫を、日本柔道界の異端児が示して見せた。

 大阪府茨木市の実家の自室に、自分で「世界一」とワープロ打ちしたA4サイズの紙が張ってある。その目標に向かって、まさに「世界一」の練習をこなしてきた。

 中学時代から、部活が終わると実業団の練習に向かった。東京・国士舘高では朝6時から始まるトレーニングの1時間前に起きて走った。

 野武士は1人でいることが多い。「同級生はさぼっているやつが多かったから口をきかなかった」

 「勉強をしながらだと試合に勝てない」。そう言って昨秋、国士大に休学届を書いて先生に引き留められた。06年に史上最年少で全日本選手権を制し、今年2度目の優勝を果たして五輪切符を手にした。

 畳を離れると、実は寂しがり屋だ。本当は、1人がたまらないときがある。小さいころ、犬小屋の中で犬と一緒に寝たことがある。昨年末には生後間もないミニチュアダックスフントを購入した。大学の寮でこっそり飼っていたのがばれ、実家に引き取ってもらった。

 すべてを勝利にささげた孤高の若者。こんな男が、まだ日本にいた。(柴田真宏)

教えて!北京五輪 powered by OKWave
この記事の話題についてみんなに質問する
質問/回答をみる

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内