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(12日、体操男子団体決勝)
北京五輪体操会場の観客席は赤く染まり、つんざくような中国への声援が続いた。
その中で銀メダルをつかみ取った男子体操代表。チーム最年少の内村航平(19)は動じることなく、伸び伸びとした演技を見せた。最終種目の鉄棒を終えると、満足げに右手を上げ、笑顔を見せた。
「太平洋を渡って、世界に通用するように」と両親が願いを込めた名前通りの活躍だった。具志堅幸司監督は「次のロンドン五輪は彼がエースでしょう」と太鼓判を押す。
長崎県諫早市で両親が開く体操クラブで3歳で体操を始めた。父和久さん(47)は高校総体優勝経験者で、母周子さんも体操とクラシックバレエも教えている。妹の春日(はるひ)さん(17)も体操選手だ。
兄妹は幼い頃から、小さなトランポリンで遊んだ。内村は「跳ぶ、回るが昔から好きで、高いところからよく飛び降りていた」という。
体操の技は、「ピンクパンサー」のキャラクター人形でイメージした。片手でつかめる大きさで、ゴム製なので長い手足を自由に曲げられる。内村はソファでくつろいでは、「シュー」と効果音を口で出しながら、空中で人形を動かし、難しい回転技やひねりを再現していた。
周子さんは「そうやって集中している時は声もかけられなかった」と振り返る。しょっちゅう触っていて、手あかで汚れると、自分で洗う。中学校時代は試合用バッグに入れて持ち歩き、高校時代は寮の部屋に置いていたという。
アテネ五輪金メダリストの塚原直也選手の大ファンで、「直也さんの所に行きたい」と高校から東京の朝日生命体操クラブに入った。小学生のころに塚原選手と一緒に写った写真は、実家の体操クラブに今も飾ってある。
大のチョコレート好き。「日本製のおいしいチョコじゃないとやる気が出ない」とクランチチョコレートを40個持参した。9日の予選は「朝起きて、ゲームやって。昼食はチョコプリン」と自然体で臨み、個人総合4位につけた。12日の団体決勝も「緊張はなかった」。
ほぼ完璧(かんぺき)に近い演技で、銀メダルをたぐり寄せるのに貢献した内村。14日の個人総合決勝は、冨田洋之(27)とともに挑む。(有吉由香)