フロア中央で、稲垣早織(18)がくるくると回る。手には3本の輪(フープ)。その中を、ほかの4選手が次々と全力疾走でくぐり抜ける。速さ、意外性ともに十分。火の輪を抜けるサーカスのライオンのようだ。
新体操日本代表が「フープ&クラブ」で披露するオリジナル技「輪くぐり」。
五明みさ子ヘッドコーチが考え出した。84年ロサンゼルス五輪で個人8位に入賞した山崎浩子(現・強化本部長)のコーチも務めていたベテラン指導者は、「日本の特徴であるスピード感を表現したかった」と狙いを話す。
最初にくぐるのは原千華(19)。「勢いよく飛び込んで迫力を出したい」。2番手の三沢樹知(18)は、くぐる前に自らが放り投げたクラブを、くぐり抜けたあとにキャッチする。最後は、同時に輪を抜ける坪井保菜美(19)と遠藤由華(16)。原の投げたクラブをくぐった後にキャッチできれば完了だ。
すべての流れが完璧(かんぺき)に決まれば、0・6点の芸術点がもらえる。オリジナル技として認定されれば、さらに0・3点が加算される。
新体操団体は「フープ&クラブ」「ロープ」の2種目の合計点で競う。日本は個々の身体能力や柔軟性では、ロシア、イタリア、ベラルーシ、ブルガリア、中国の5強にはかなわない。
それを補うチームワークを手にするために、ロープに出場予定の田中琴乃(16)を含む6人は、親元を離れて共同生活をしながら厳しい練習を積んできた。山崎本部長は「連係とオリジナリティーあふれる演技で、5強の一角を崩したい」。(平井隆介)