連覇を目指す柔道男子66キロ級の内柴正人(旭化成)は「北京五輪で僕より強い人は8人くらいいる」と言う。それでも「勝てるんじゃないかな」。根拠は「僕は自然体だから」。
国際大会にはトラブルがよくある。先進国以外で行われればなおさらだ。ドミニカ共和国であった06年柔道世界ジュニア選手権は試合中に停電。テレビ局のカメラ照明を使って続行されたという。
昨年、アゼルバイジャンであったレスリングの世界選手権では日本選手の多くが下痢に苦しみながら戦った。
柔道男子81キロ級の小野卓志(了徳寺学園職)は03年アジア選手権で、苦い出来事があった。休憩時間と思って寝ていたところ試合時間が変更されていた。突然名前を呼ばれた。コーチは出払っており帯同医師がセコンドについたが、準備運動もできず敗れた。
様々な経験を重ね、彼らはたくましさを身につけた。
今年4月、2人は北京五輪切符をかけてアジア選手権に臨んだ。出場を逃すと日本柔道界初の屈辱だ。重圧をはねのけ際どい試合をしのいで、2人とも出場権を得た。小野は勝因を「精神面ですかね」と言った。
五輪では運営の混乱はないだろうが、世界中の注目は浴びる。内柴は「みんな緊張するから、その合間を縫って勝てる方法を探したい。みなさんすごく緊張してください」。内柴30歳、小野28歳。経験を積んだ選手は、勝つために必要なのが体力と技術だけではないことを知っている。(柴田真宏)