ソフトボールの情報分析
ふくしま・あつし 70年、熊本・八代市出身。04年から日本ソフトボール協会で「情報分析」を担当。06年度からは日本オリンピック委員会専任の情報科学スタッフに。東大の大学院生でもある。妻と3人の子どもには「北京で金メダル」と誓っている。
五輪3大会連続金メダルの米国をどうやったら倒せるか。ビデオカメラを回し、データをパソコンに落とし込みながら考える。
04年から、海外を飛び回って強豪国の試合をビデオで撮り続けている。センター後方のカメラで主に相手投手の配球を、バックネット裏のカメラでは球筋をとらえる。
米国のほかにも、アテネ五輪銀メダルの豪州、地元の中国。北京で強敵になりそうな国の映像を分析中だ。「家でも大学の研究室でも、ずっとビデオを見ている」。米国の4番打者バストスはどのコースが好きか。主戦のオスターマンの初球はどんな球種が多いのか。分析したデータを、斎藤春香監督らに手渡す。
生まれ故郷の熊本・八代市はソフトボールが盛んな街だった。小学生の時にプレー、早大時代もサークルで親しんだ。「自分は遊び程度だったけど、一流選手の球はものすごく速い。なんで下手投げなのに、速い球を投げられるんだろう」
素朴な疑問を捨てられず大学卒業後に就職した医療機器メーカーを2年で辞めて、学問の世界に戻った。以来10年以上、腕を風車のように回して投げる「ウインドミル投法」のメカニズムを研究し続けている。上野由岐子(ルネサス高崎)ら日本代表クラスの投手を研究室に招き、フォームを解析したこともある。
日本協会が出す指導教本に「球を速く投げる技術」を執筆した。研究心の底にあるのは「自分も上野のような速球を投げてみたい」というかつてのソフトボール少年の夢だ。だがそれはかなわない。「理論は完璧(かんぺき)なはずだろうって、みんなに笑われるんですけどね」(平井隆介)