モンテネグロ五輪委は水球を「国技」と位置づけ、強化を図る=ヘルツェグノビで
《モンテネグロ》旧ユーゴスラビアの1共和国。06年5月の国民投票を経て、同年6月にセルビアから独立を宣言。国土は約1万4000平方キロ(福島県とほぼ同じ)。公用語はモンテネグロ語。通貨はユーロ。アドリア海沿いのリゾート地として、将来的に発展が見込める。
水球王国の英雄、最後の舞台
「黒い山」。モンテネグロの国名は、国土の特徴をあらわす。
内陸にある首都ポドゴリツァから、車は黒い岩肌の道を縫うように走る。1時間ほどでアドリア海が視界に広がった。
「水球王国の強さの源泉が、透き通った青い海。小国が生んだ奇跡です」。モンテネグロ五輪委員会のシモノビッチ会長は誇らしげに話す。
人口約60万人の旧ユーゴの小国は昨夏、国際オリンピック委員会への加盟が認められ、北京が五輪初参加となる。昨秋の水球男子の欧州五輪予選は6戦全勝。11カ国中1位で出場権をつかんだ。
チームの大黒柱は旧ユーゴ代表時代から「世界最強の左腕」と恐れられたウスココビッチだ。入り江の町、コトルで育った。「水球を始めたのは9歳。練習したのは近くの海。自然のプールで鍛えた」。旧ユーゴ時代を含め代表通算450ゴール以上の生きる伝説だ。
五輪委は水球を「国技」と位置づけ、海沿いの街だけでなくポドゴリツァなど内陸の都市にも屋内プールを造る。サッカーやバスケットで世界と張り合うよりメダルに近いからだ。
コトル、ブドバなど海沿いの町の不動産屋はロシア語の広告が目につく。温暖なリゾートとしてロシアの富裕層が目を付け、土地の相場は5年前に比べて5〜10倍とバブルの様相を呈す。
「五輪は国家の知名度をあげるのに最高の舞台。水球とアドリア海のリゾートは『水』の共通項があるからイメージ戦略としても最適」(シモノビッチ会長)。北京五輪の強化費100万ユーロ(約1億6000万円)の大半を、水球に注ぎ込む。
北京でのライバルは3連覇を狙うハンガリーと07年世界王者クロアチア、セルビア・モンテネグロとして銀メダルを獲得した仲間のセルビア。 「新たな母国の誇りを胸に、新鮮な気持ちで戦う」。英雄ウスココビッチは、モンテネグロ初のメダルを手みやげに、代表を引退する心積もりでいる。
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北京五輪は200余の国・地域が集う。独立して初参加する国、紛争が続く国、建国後初のメダルが有望な国……。それぞれの思いを胸に、8月の祭典を待ちわびる。