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完投勝ち。初戦を乗り切ったというのに、明徳義塾の鶴川には、喜びの表情はなかった。「ダメでした。最悪」。ため息をつき、まるで敗戦投手のようだった。
小山田への1球目。外角への直球が140キロ台を計測した。久しぶりの手応え。元々、直球へのこだわりがある。立て続けに速球で押したが三遊間を抜かれ、小林には中前に落とされた。
しかし、1年の夏から甲子園を知る経験が生きる。佐藤栄を三ゴロ併殺でしのぐと、2回から、スローカーブを交え、変化球を多めにする配球にがらりと変えた。
その後も、再三、走者を背にしながらここ一番では、低めを突いて、注文通りの併殺で切り抜けるなど、キャリアを存分に見せつけた。
思い描く直球が走らず、シュート回転し甘くなる。鶴川はその原因を「腕が下がり、手首の返しが早い」と自ら分析した。力むあまり上体が突っ込み、体が開く悪循環。頭では分かっているのにできない。求めるものが高いだけに、鶴川の悩みは深い。
後輩の松下建が急成長する中、背番号「1」としての意地もある。選抜後、体重移動を滑らかにするためフォームを一部修正するなど、試行錯誤が続く。
「もう一度フォームをチェックします」という鶴川を横目に、捕手の梅田が「悪いなりに要所を締めてくれた」。
だが、エースに慰めは似合わない。
(08/10)
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