第87回全国高校野球選手権大会で、酒田南は山形勢初の夏8強入りをかけて3回戦に挑んだが、宇部商(山口)に2―11で敗れた。悲願達成は来年以降に持ち越しになったが、1回戦姫路工(兵庫)、2回戦沖縄尚学と強豪校を破り、「強い山形の代表」を十分に見せてくれた。その健闘ぶりを振り返った。
金本明博君(3年)が一塁へ頭から飛び込んだのは初めて見た。
3回戦、宇部商に11点差をつけられた7回。打球は平凡な遊ゴロだった。「体が自然と。どうしても勝ちたかった」
今年は、1、2年生からレギュラーで活躍してきた経験豊富な選手が多いチームだった。西原忠善監督は「いい意味でも、悪い意味でも大人のチーム」と評してきた。
2回戦の沖縄尚学戦、9回、2点差に追い上げられ、さらに1死満塁とサヨナラのピンチ。ここでもエース金本君は「力はまだ残っていましたから」とさらり。この試合で初めてとなる140キロ超の直球を投げ込んで抑え切った。
6月の春季東北大会では「大人のチーム」の欠点が出た。
準決勝青森山田戦、外角のストライクゾーンが広かった。外角球に酒田南の選手はあっさりと見逃し三振。「あれはボールだな」
だが、相手選手は外角の球にバットを投げ出して空振りの三振を喫した。西原監督は「あれが高校生ですよ。ウチにもあの執念がほしい」。
宇部商戦、大敗だったが、「最後まで全くあきらめていなかった」(遠山比呂志主将・3年)とチーム全員で勝利を目指すひたむきさを見せてくれた一戦だった。
■光った堅守
甲子園3試合無失策と堅守が目立った。
地方大会で一塁を守っていた倉内佑樹君(3年)。甲子園は二塁手に回った。試合前の練習で西原監督は「お前のためにノックをしているんだ。しっかりやれ」と二塁手倉内君に激をとばした。
本番では、決して器用とは言えないが、ゴロをしっかりと体で止める堅実な守備をこなした。
遊撃手遠山主将の守備は安心できた。三遊間の難しいゴロも一塁へ矢のような送球でアウトにした。
「1番から9番までどこからでも得点できる」(西原監督)自慢の打線も姫路工戦で先発全員複数安打の19安打と球場を驚かせた。
■1、2年生も活躍
1、2年生も活躍した。姫路工戦で美濃一平君(1年)、沖縄尚学戦で佐藤良輔君(2年)が本塁打を放った。
宇部商戦で先発した山本斉君(1年)も4回途中で降板したが、3回まで無失点に抑え、初めての夢舞台で堂々の投球だった。
3人は敗退後、「来年も必ず戻ってきます」と目を赤くして悔しさをにじませた。
■「自分には過ぎたチームでした」と監督
練習では言葉少なにじっと選手を見つめる西原監督。宇浦公輝君(3年)は「雲の上の人です」と言う。
大差がついた宇部商戦、西原監督は18人全員を出場させた。右ひじを痛め、出場をあきらめていた投手宇浦君も代打で出場。「監督に感謝です」と話した。
西原監督は驚くほど厳しく選手を怒鳴りつけることもある。だが、それは誰よりも選手を思いやっているから。選手たちもそれを知って、ずっと監督についてきた。
西原監督は試合後、「自分には過ぎたチームでした」と胸を張って選手たちをねぎらった。