「ベルトの高さに来たボールは球種を問わず、打ち返す」。相手投手を研究した結果、試合前に決めたチームの約束事だった。その約束を、2番打者の中山怜大(れお)主将がきっちり果たした。
先制された直後の3回2死一、三塁。変化球を振り切ると、打球は左中間に抜けて逆転の2点二塁打に。「いつも次に回すことだけを考えているけど、あの場面では狙っていました」
さらに5回1死一塁。内野安打で出た俊足の荒木郁也(ふみや)君が二盗を狙って走り出すのが見えると、変化球を力いっぱいたたき返した。「コースも高さも甘かったんで、思い切り振ってみました」。打球は中堅手の頭を越え、適時二塁打。この日だけで3打点をあげた。
身長168センチ、体重71キロ。決して大きいとは言えない体格だ。「僕はホームランが打てない。後ろにたくさん強打者がいるから」と話し、つなぎ役を自覚する。実際、西東京大会では走者が出れば主軸に回すことに徹した。それが甲子園に来てからは長打続き。スタンドを沸かせている。
高知を退けた初戦では、2回2死でレフトフェンスに達する二塁打。江原真輔君の本塁打の直後だったこともあり、「今年も強打の日大三」と甲子園の大観衆に印象づけた。
3回目の甲子園。1年の夏は代打で出場し、昨年は二塁手としてスタメン出場したが、2戦目で駒大苫小牧に惜敗。今年の開会式で深紅の大優勝旗とともに行進する駒大苫小牧をみて、「リベンジしたい」という気持ちがたぎった。
4年ぶりの8強入りを果たしても、淡々と「打ち合いで負けない、自分たちの持ち味を出していくだけです」と話した中山君。仲間たちとは「甲子園で監督を胴上げしようぜ」という目標を熱く、静かに語り合っている。