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笠田・前田玲次主将 |
9回表1死一、三塁。代打が告げられ、笠田の背番号18、3年の前田玲次主将が右打席に向かった。高鳴る胸を抑えつつ、バットを構えた。
身長190センチの前田は、長身から投げおろす球を武器に新チームの主戦となることを期待された。だが昨秋、練習中に右ひじに違和感を覚えた。冬に一時回復したものの痛みがとれず、今春もなかなか登板できない日々が続いた。
「あの頃は情けなくて、しんどかった」。けれど、みんなに選ばれてなった主将。「試合に出られなくても、チームをまとめていきたい」。気持ちを切り替えた。
1回、笠田が2点を先取すると「よっしゃー」と大きな声を出し、ベンチの雰囲気を盛り上げた。守備から戻るチームメートを拍手で迎え、攻撃が終わればベンチに戻る打者や走者に率先してグラブを手渡した。8回に1点をかえされると「まだ試合は終わってない。もっと集中しろ」と声を張り上げ、チームを引っ張った。
9回、牧野監督から前田に「いつでも出られるように用意をしておけ」と指示が出た。それを聞いた仲間からは「自分のスイングをしろよ」との声が飛んだ。今大会の初打席だった。「絶対打つぞ」。気合が空回りして空振りの三振。
「やってしまった」。前田は悔しそうにベンチに戻るとタオルで顔をぬぐった。気を取り直し、前田は再びベンチの最前列に立ち、勝利が決まるまで声を出し続けた。
40年ぶりの4強進出。試合後、前田は主将として準決勝の抽選のくじを引いた。相手は古豪の桐蔭。「挑戦者として、自分たちの力を出し切るのみ」と顔を引き締めた。