第87回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高野連主催)に10年ぶり15回目の出場を果たした高岡商。1回戦で敗れたものの、終盤に追いついて延長に持ち込み、精神力の強さを発揮した。一方で、さらに加点できた場面もあり、あと一歩で勝利を逃した課題も見えた。健闘のあとを振り返る。(山田佳奈)
宮袋誠監督をはじめ選手たちは、富山大会と全国大会を通じて「いつも通りの自分たちの野球をするだけだ」と繰り返してきた。また、練習メニューも基本プレーの繰り返しだと話し続けた。
この「いつも通りのプレー」が高岡商の生命線だった。象徴するのが毎日練習前に部員たちが声を合わせて唱える野球部五訓。「甲子園を想定してプレーせよ」「目標を持って練習に臨め」「質の高い生活を心がけよう」など、宮袋監督らが「24時間が常に練習である」という考えを明確にしようと作り、唱え始めた昨年の3年生が富山大会で決勝に進出。この成果が自信を深めさせ、今チームになってからは冬場の読書や全選手が練習前に目標を書くことなど、何事もおろそかにせず、時間を無駄にしないという意識の向上に努めてきた。
また、6月中旬の合宿では、一通り練習がすんだ後、夜に約3時間半のノックを追加し、長時間でも途切れない集中力を養った。これが甲子園での終盤の2併殺など、ミスが許されない状態での安定した守備につながった。緊張と疲労の中、いつも通りの基本プレーを確実にするための基盤づくりの大切さを示した。
一方で、犠打失敗や記録上は表れない走塁のわずかなスタートの遅れなどが明暗を分けた。甲子園で勝つには走者を確実に進めるという基本のさらなる徹底が必要だ。
また、今チームは先発9人のうち3年生が捕手の久恵主将一人だったにもかかわらず、落ち着いた態度が目立った。先発の1、2年生のうち6人がリトルシニアリーグ出身。ファウルで投手の焦りを呼んだ大鋸谷、相手投手の動揺を冷静に察知した北田、試合の流れを逃さず初球を打って適時打にした有沢らの物おじしない戦いぶりは、中学時代に全国大会で3位になった実績が生きた。
加えて富山大会で打率7割6分5厘を残した4番井上が「久恵主将が5番にいてくれるから安心して打てる」と話したように、久恵が精神的な支えになった。捕手として、甲子園では終始気持ちを切らさないリードで成長を見せた。
高岡商は今年のメンバーのほとんどが新チームに残る。他にも登板機会のなかった183センチの左腕浦垣ら力ある選手がいる。リトルシニアで活躍した選手らが中学時代の力に高校でいかに上乗せし、大舞台で基本通りの力が発揮できるように練習を積み重ねるか。そこに甲子園での勝利のカギが見えてくるように感じた。