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「最高の夏」支え合った 健闘した富山工

2005年07月24日

写真

マウンドに集まる富山工の選手たち

 敗れた富山工のベンチ裏で、選手たちが立ったまま、しゃくりあげている。その前で森永弘監督もうつむいて目頭を押さえ、そして声を詰まらせながら、「負けたけどとても良く追い上げた。9回の連打はうちのチームの象徴。最高のメンバーだった」。

 富山工が8点差を追いかけて迎えた7回裏。点を入れなければコールド負けが決まる。四球で出塁した走者がかえり、11―4。あと1点。でも2死だ。4番の五十嵐優介君に打順が回ってきた。深呼吸一つ。「どんな形でも塁に出たい」と打った球は左前に飛び、5点目が入った。「まだ戦える」

 五十嵐君は持病の心臓病の手術を今年1月にした。激しい運動をすると心拍数が200ほどに上がって、休まなくてはならなくなる。手術自体は難しくはないが、普段の生活には支障がないため、この病気とずっと付き合っていくつもりだった。しかし、森永監督の「治るものなら治して、思い切り野球をやったらどうだ」という助言もあり、手術に踏み切った。それから半年、「発作が出なくなり、これまでで一番、野球に打ち込めた毎日になった」。

 選手たちは口々に、「このチームは最高だ」と話す。「捕球の体勢はこうやぞ、とすっとやって見せて教えてくれる」「面白いことを言って笑わせてくれる」「苦しい練習の時も一番声を出してくれる」。そんな主将の大塚貴大君を中心にまとまり、9回にも4連打で1点返した。「まだ行ける」とベンチでは最後まであきらめず、誰もが声を出し続けた。

 しかし、9回裏右飛で飛び出した二塁走者高畑吉克君がアウトになり、試合終了。高畑君は二塁に頭から突っ込んだ状態で、しばらく立ち上がれなかった。何も考えられず、周囲が真っ白になったように感じていた。一塁コーチの松下和樹君が駆け寄り高畑君を抱きかかえた。「やるだけのことはやった。気にするな。連打も出た。良かったぞ」。高畑君は黙って耳を傾けた。

 主将の大塚君はこの日は失策もあり、最後は三塁コーチとして見守った。最後まで主将の役目を果たし、試合が終わって3年生に「今までありがとう」、2年生に「来年頑張ってくれな」と一人ひとりにしっかり声を掛けた。声をかけられた選手は「あいつもつらいのに」と思いやった。

 快進撃を見せた春季県大会での4強には一歩及ばなかったが、高畑君は「毎日みんなと一緒に練習できて、最高に楽しかった」と声を絞り出した。(山田佳奈)


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