第87回全国高校野球選手権大会6日目の11日、鳥取西は第4試合で銚子商(千葉)と対戦、1―7で敗れ、初戦突破はならなかった。エース浜本は前半、低めを丁寧につく粘りの投球で奮闘。しかし、打線が銚子商・遠藤投手をとらえきれず、浜本も後半つかまった。12年ぶりに夏の甲子園の土を踏んだ鳥取西。選手たちの懸命なプレーに大きな拍手が送られた。
「どんな時でも笑顔でいこう」。7回のピンチ、内野陣がマウンドに集まった。浜本翔太投手は、表情が硬い仲間たちにそう声をかけた。
主将でエース。チームの柱で、きまじめな性格だ。昨秋から「全国で勝てるチームにしよう」と、鼓舞し続けた。
だが、思いが空回りした。練習に遅刻する選手。ノックでボールに飛びつこうともしない選手。何とかしようとミーティングを開くと、「あいつは手を抜いている」などと仲間への批判が飛び交い、かえってチームがばらばらになった。主将は1人で悩み続けた。
「勝とう」ではだめか。練習試合でエラーが出た時、「勝とう」ではなく、違う言葉を選んでみた。「楽しもう」。チームメートの顔が、ふっと緩んだ気がした。これをきっかけに、「孤独な主将」は「笑顔の主将」に変身した。
銚子商に突き放されても笑顔を絶やさなかった。2年生の吉岡知美一塁手は「浜本さんの笑顔があったから、チームは元気になれた」。
試合後、浜本投手はすっきりした表情で「チームを誇りに思います」と話した。夏が終わった。