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円陣で仲間を迎え入れる河野真之君(右から2人目)=県営鳴門 |
15日午後1時31分。試合終了のサイレンが鳴った。5回コールド負け。鴨島商の一塁コーチャー、河野真之君(18)の夏が終わった。「今日は一回も腕を回せなかった」
2年生だが、来年19歳になり、年齢制限を超えてしまう。河野君にとっては最後の夏だった。
中学では陸上部。グラウンドで仲間たちと大声を出しながら練習に励む野球部にあこがれていた。「高校では野球をやろう」。その気持ちで入った高校は、県内でも有数の強豪校だった。気持ちとは裏腹に、初心者では練習についていけない。部員が多く、だれも自分のことを覚えてくれなかった。すぐに部を辞めた。学校にも合わず、翌年春、鴨島商の生徒になった。
今度の野球部は小所帯。「グラブの角度はこう」「このタイミングは走った方がいいぞ」。練習では先輩がいろいろアドバイスしてくれた。やればやるほど自分が上達していくのがわかった。
練習後は3年の池本耕平君(18)と一緒に自転車で帰った。「○○高校が練習試合で××に勝った」「あそこの投手は、変化球がすごいらしい」。徳島市内の自宅まで1時間以上の帰り道も野球の話ばかり。学校が楽しくて仕方がなかった。
「思い切って振っていけー」「打てー、打てー」。試合中は打者に向かって声を出し続けた。3回2死三塁、その声が一段と大きくなった。打席には主将の大塚智也君(18)。「絶対に打ってくれるはず」
結果は伴わなかった。でも、打席に立つ仲間を信じることができたのは、これまで一緒に練習をしてきたからだ。秋、春の公式戦には出場できる。「球場に来るまでは、『最後の夏』という気持ちだった。でも、今は『あと半年間野球ができるぞ』という気持ちの方が勝っています」