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決勝でも智弁和歌山の猛打は際立った |
清原、桑田らで数々の大会記録を打ち立てて優勝したPL学園(大阪)から15年たった第82回大会。当分破られることはないと思われたこれらの記録を塗り替えたチームが現れた。「史上最強打線」の異名を持った智弁和歌山だ。
なかでも特筆すべき記録は、PLが持つ大会最多本塁打を1本上回る11本塁打だろう。PLが5試合で10本打ったのに対し、智弁和歌山は6試合と1試合多かったが、PLのときはまだ甲子園にラッキーゾーンがあった時代。当時とはバットの性能も違うため、単純比較はできないものの、PL並みかそれ以上の力があったのは間違いない。
それを印象づけた試合が3回戦。相手は奇しくもPLだった。
智弁和歌山はこの大会で優勝候補の一角に挙げられていた。1回戦の新発田農(新潟)戦で後藤、武内の2本塁打を含む22安打の猛攻で14―4と大勝。2回戦は中京大中京(愛知)に7―0から1点差まで追い上げられたが辛くも逃げ切っていた。
この試合でも智弁和歌山の猛打は爆発した。1点をリードした3回。2死一塁とチャンスがしぼみかけた場面で4番池辺が高めの球をバックスクリーンに運んだ。さらに2死一塁として、今度は山野がバックスクリーン左に打ち込む特大アーチ。この回の2発でチームは完全に勢いに乗った。
5回にも山野が2打席連続となるソロ本塁打を中堅右へ。9回にも後藤が打ち込んでこの日4本目。伝統を誇るPLを力でねじ伏せ、ベスト8進出を決めた。
準々決勝の相手は今大会屈指の右腕・香月を擁する柳川(福岡)。事実上の決勝戦ともいわれた試合は、逆にリードされる苦しい展開となった。
まず2回に3点を先取され、3、4回に1点ずつ返すが、5回に再び3点を失う。2―6の絶体絶命の状態で迎えた8回。1死走者なしから3番武内が真ん中高めの球を右翼席に運び、反撃の口火を切った。さらに死球と安打で一、二塁とし、山野がこの大会3本目となる同点3ランを左翼スタンドに叩き込んだ。
こうなれば智弁和歌山のペース。延長11回に後藤がサヨナラの右前安打を放って決着をつけた。
準決勝の光星学院(青森)戦もシーソーゲームとなり、7回が終わって5―5。8回に池辺の適時打などで2点を入れ、3年ぶりに決勝へ勝ち上がった。
決勝は初優勝を狙う東海大浦安(千葉)との戦い。堤野が4回、6回と2打席連続本塁打を放ったが、先発中家が不調で7回まで5―6とリードを許した。しかし、8回。強力打線は目を覚ます。1死二塁から山野の中越え二塁打で追いついた後、さらに連打などで一気に4点。9回にもチーム11本目の新記録となる後藤のソロ本塁打でとどめを刺し、ついに3年ぶりに深紅の優勝旗を手にした。
大会通算安打も100と前人未到の3ケタ台に載せた。6試合で35失点と、過去の優勝校の中ではディフェンス力があるとはいえなかったが、それをカバーするには余りある「史上最強」の名にふさわしい強力打線のチームだった。