優勝候補の済美を破った清峰・吉田監督の一手が印象に残った。
5点リードで迎えた9回、無死二塁から送りバントで走者を進め、選んだ作戦はスクイズ。1点にこだわった。
前日は関西が京都外大西に6点差をひっくり返された。土壇場の逆転劇が日常茶飯事の甲子園だ。済美が最後の抵抗を見せた9回の守りで、この1点がどれだけ選手を落ち着かせたことか。
「点は取れる時に取る。普段の野球をやっているだけ」と吉田監督。初出場のチームにとって、いつも通りの野球をすることが難しい。
監督就任は01年。わずか5年目で甲子園にこぎ着けた。柔和な表情と、とつとつとした語り口。「同じ目線で、選手の短所も受け入れる」のが持論だ。この日もスクイズを失敗した選手に「おれが焦ってしまった」と謝った。36歳。勝負勘のみならず、人心掌握術にもたけている。(畑中謙一郎)