夏の甲子園で、57年ぶりの連覇を果たした駒大苫小牧。5試合で2失策の堅い守備と勝負強い打撃、そしてタイプの違う3人の投手起用で熱戦を勝ち抜いた。
■打撃
チーム打率は3割4分2厘。昨夏記録した大会記録の4割4分8厘には及ばない。だが準々決勝の鳴門工(徳島)戦で見せた一挙6点を奪い逆転する集中打や、決勝の京都外大西(京都)戦での決勝点を奪った辻寛人選手の右打ちの二ゴロなど、状況に応じた攻撃で接戦を制した。
駒大苫小牧は、約2秒間隔で飛んでくるボールを打ち続ける「連続マシン打撃」を練習に採り入れている。これで全国レベルの速球を打つ力を身につけ、準決勝の大阪桐蔭(大阪)戦では大会屈指の左腕・辻内崇伸投手から10安打を放った。
甲子園入りしてからは一転、スローボールを打つ練習を繰り返した。打撃フォームを再確認するためだ。林裕也主将は「速球だろうと変化球だろうと、打てないのはフォームを崩されるから」と説明する。
常に次の塁を狙う姿勢も光った。鳴門工戦で岡山翔太選手が見せた相手の隙をつく二塁打は、相手を動揺させ、逆転のきっかけになった。
■守備
雪上ノックで鍛えられた守備は、南北海道大会から選手権大会までの11試合で失策0。決勝こそ2失策だったが、鳴門工の高橋広監督が「守り負け」と評するなど、勝利の原動力になった。
林裕也、五十嵐大、辻の各選手で構成する内野陣に加え、強気のリードで投手陣を引っ張った小山佳祐捕手や、強肩で余計な進塁を許さなかった青地祐司左翼手らが、「守りからリズムをつくる」野球を実践した。
■3投手
香田誉士史監督が取り組んだ複数投手の育成の成果も出た。
昨夏は岩田聖司、鈴木康仁、松橋拓也の3投手。今夏の連覇では、松橋、吉岡俊輔、田中将大の3投手を起用した。
松橋投手は速球を武器に、聖心ウルスラ(宮崎)戦で2安打完封など3試合に先発。決勝で150キロを記録した速球とスライダー、フォークなどが武器の田中投手は、チーム最多の25回3分の2を投げた。吉岡投手も大阪桐蔭戦で好救援した。
■メンタル
選手たちは「楽しむこと」を合言葉に、甲子園でのびのびとプレーした。その背景には、香田監督のメンタル面での配慮がある。
南北海道大会直前には、選手たちを連れてニセコにラフティングに。2回戦の翌日は、昨夏は優勝でいけなかったユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に出かけた。選手たちは「勝ったら連れて行ってもらえると思ったので気合が入った」という。
甲子園入り後は、練習場や試合にバスで移動するとき、勝った試合や昨夏の決勝戦のビデオを流し、気持ちを高めた。
■次へ
昨夏はベンチ入り18人中6人が2年生。林主将ら昨夏の優勝メンバーが経験を生かして連覇に導いた。今大会も2年生6人、1年生1人がベンチ入り。2年生の本間篤史選手を4番で起用し続けるなど、先を見据えている。
香田監督はいう。「大優勝旗を手にした瞬間から、僕らはまた挑戦者に戻るだけです」