先制された2回以降、先頭打者を毎回出す嫌な展開。それでも6回まで追加点を許さなかったのは捕手・河原崎勝君の好プレーがあったからだ。
4回の守り。無死一塁から、次打者に対しカウント2―2とすると金城成久監督は「1球外せ」のサイン。ミットを外寄りに構えると、投球動作の間に走者が走った。二塁に入った遊撃手・杉山将君への好送球でタッチアウト。1死を奪った。
さらに四球で走者を出して初球。「走ったぞ」。内野手の叫びが聞こえた。夢中で投げると、低い軌道で杉山君のグラブに届き、再び盗塁を阻んだ。
圧巻は6回。失策で先頭打者を出し、次打者を三振に取って1死一塁。この時、走ったり止まったりする走者の動きを見逃さなかった。
「走ってくるな」。宿舎で宇部商の試合をビデオで見て、盗塁する時の特徴を見抜いていた。外角真っすぐを要求。捕球と同時に二塁へ。再びピンチを救った。
1試合に3度も二塁送球でアウトにしたのは初めてだ。「一番、不器用な選手」と自認する。1年からベンチ入りしたが、送球はそれ、ワンバウンドの投球を何度も後ろにそらした。
克服するためにグラウンドに居残り、本塁から二塁への38メートルの送球練習を繰り返した。200球を超えることもあった。
試合後、言葉を詰まらせた。「みんなに申し訳ない。打たれたのはキャッチャーの責任……」
だが、送球を受け続けた杉山君は「これまで浮いていたけど、今日は三つともまっすぐに来た」と言い、主将の具志飛馬君は「頑張ってきたから最高の結果が出た。ぼくらチームメートもうれしい」とたたえた。
守りのチームにあって、守備の要と呼ぶにふさわしい働きだった。