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第79回選抜高校野球大会

県和歌山商

70年ぶり3回目

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粘り届かず 連続逆転、応援席沸く

2007年03月25日

 70年ぶりの春舞台、よくやった――。第79回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催)2日目の24日、県和歌山商は強豪・熊本工(熊本)と対戦し、4―6で敗れた。雨の中、1点を争う大接戦。2度リードを奪う健闘ぶりだった。9回に1点を返すなど、最後まで粘りを見せたが、あと一歩及ばなかった。

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県和歌山商―熊本工 9回表県和歌山商2死一塁、前原は右翼線適時二塁打を放つ。投手隈部

 ◎…9回2死二塁。西辰冶がフルスイングしたバットは空を切った。試合終了。県和歌山商の春の挑戦が終わった。二塁走者の前原浩平は一瞬立ちつくした。

 県和歌山商は最終回、この前原の二塁打で1点返し、2点差に詰め寄った。「粘り強さを見せられてよかった」。最後まであきらめない県和歌山商の「粘り打線」。それを象徴したのが、この日の前原だった。

 「抜群の野球センスがある」と米原寿秀監督が評価する前原だが、今年に入り「今までにないスランプ」に陥っていた。2日前の練習で、主将・吉見允志を投手に約100球打ち込んだ。

 初回は三振したが、5回には三遊間を抜く安打を放った。「よっしゃあ打てる」。手応えを感じた。そして9回の打席。差は3点。でも「もう1回取り返してやる」。吉見との練習の感覚を思い出した。2球ファウルの後、狙っていた外角の直球。「きた」。振り切ると、打球は右翼線を抜けた。一塁走者の山本大斗が一気に生還、最後までスタンドをわかせた。

 ◎…熊本工の藤村大介、加久統之の俊足コンビをいかに封じるか。これが熊本工戦のポイントだった。藤村をインコースで打ち取る――。吉本研吾はイメージトレーニングを重ねてきた。

 吉本の肩は約2週間前から炎症を起こしていた。痛み止めを飲んで試合に臨んだが、序盤は好調。4回まで2安打に抑えた。

 しかし5回裏。藤村に2球続けて内角を攻めた。3球目、打球は詰まったが、中前に落ち安打。続く加久に3打席連続となる死球を与えた。

 マウンドに選手たちが集まった。伝令に走った吉見は「慌てるな。もっと楽しくやろう」。遊撃手の辻本真也は笑顔で励ました。

 次打者は3番今村幸志郎。福田勇馬のサインは真ん中への直球だったが、吉本は首を横に振った。吉本が投げたのは内角のカーブ。右中間へはじき返され、藤村と加久が相次ぎ本塁を駆け抜けた。「初球からくるとは思わなかった」。吉本は唇をかみしめた。

 「打てるもんなら打ってみろ」。試合前夜、吉本は帽子のつばの裏にこう書いた。しかしマウンドでは、緊張のあまり見る余裕もなかった。「ピンチにしっかり制球できるように成長し、夏に帰ってきたい」

 ◎…捕手で4番の福田勇馬。自らのミスで先制点を許してしまった「借り」を、攻守で返した。

 2回。二塁走者の三盗を阻止しようと、福田が三塁へ投げた球がそれた。「走ったと分かって焦った」。米原監督は、ベンチに戻った福田のほおを両手で押さえて「楽に行こう」、選手たちも「やった分返せよ」と声をかけた。これで気持ちが楽になった。

 打っては5回。福田は低めに入った直球をとらえ、中越えの二塁打を放つ。120メートルのフェンスを直撃する豪快な当たりだった。守っては6回。投手前に落ちたバントの打球を冷静に二塁へ送球し、飛び出した二塁走者藤本をアウトにした。

 「試合は楽しめた」と話す福田。だが表情は厳しかった。「甲子園で勝つためには、もっと細かなことを身につけなければ」。福田の心は「夏」に向かっている。



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