守りの勝利、仲間信じてエース力投
2007年03月27日
第79回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催)第4日の26日、北陽は鹿児島商を1―0で破った。春夏を通じて甲子園では13年ぶりの勝利だ。試合は、両校エースによる緊迫した投手戦となり、再三のピンチにも、好返球で相手走者を本塁で刺すなどして最少得点を守り抜いた。2回戦は、大会第8日の第1試合で広陵(広島)と対戦する。
◎…9回裏、北陽のエース秋本達也君(3年)は、先頭打者に二塁打を打たれた。ベンチから監督の指示を受けた長井仁寿(まさひで)君(同)がマウンドに走り、内野手が円陣を組んだ。「1点はやってもいい。延長戦になっても、お前らなら点を取れる。攻めることだけを考えろ」
しかし、秋本君の思いは違った。「1点もやらない」。次打者に内野安打を許し、無死一、二塁。サヨナラの走者を背負う最大のピンチにも、秋本君は冷静だった。
この日、鹿児島商打線には、高めの直球に、緩いカーブを織り交ぜた投球が有効だった。打ち気にはやるあまり、引っかけてくれるケースが多かったためだ。
次打者にも同じ投球を貫いた。狙い通りに投前ゴロに打ち取ってダブルプレーで2死三塁。
最後は外角の直球で三振を奪った。「この試合で最高のボールでした」と捕手の八木研人君(同)。秋本君のポーカーフェースが初めて笑顔に変わった。
◎…秋本君が冷静かつ強気の投球が出来た背景には、仲間の守りへの信頼感がある。
昨秋の府予選から背番号1をつけ、公式戦10試合のすべてに登板。最初は「自分が打たれたらあかん」という気持ちが強すぎ、力んでしまった。ところが、数々の接戦を勝ち上がってこられたのは、仲間の堅守のおかげだった。今では、「打ってみろ」という気持ちで投げられるようになったという。
この試合もエースを助けたのは、左翼手大隅翼君(同)の好返球だった。
7回2死二塁。鹿児島商の次打者の打球は、左翼線近くにポトリと落ちた。大隅君は捕球した瞬間、二塁走者が三塁を回ったのが見えた。矢のような大隅君の送球はワンバウンドで本塁に届き、タッチアウト。「練習で1度も成功したことがなかったので自分でも驚きました」と大隅君。
秋本君は「あれで本当に助けられた」と話した。
◎…北陽が放った6安打のうち、引っ張った打球は一つもなかった。新納弘治監督の指示は「相手投手は外角球が多い。体を開かずに打ち返せ」。センターを中心にはじき返す打撃を徹底し、決勝点となる先制点をものにした。
2回、主将で5番の上杉達也君(同)が右越えに三塁打を放った。いつもの打順は3番のため、「5番を打つのが悔しかった。見返してやろうと思った」と上杉君。最近の練習試合で不振が続いていたが、素振り練習を徹底した成果が出たという。
続く八木君が、中前にゴロではじき返す貴重な適時打を放ち、上杉君を迎え入れた。
八木君は「秋本を楽にしてあげたいという一心だった。打てて良かった」と話した。
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