「必ず夏来る」 主将、ピンチにも笑顔
2007年03月26日
「逆転の報徳」を見せることは、できなかった。第79回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催)第3日の25日、報徳学園は初出場の室戸(高知)に1―2で惜敗し、5年ぶりの甲子園での勝利はならなかった。毎回のように得点圏まで走者を進めたものの、相手投手の粘りや外野手の好守にはばまれた。「夏に、また戻ってくる」。選手らは、力強く言った。
 7回表1死一、二塁で、マウンドに集まった選手らに、竹田(中央)が声をかけた=阪神甲子園球場で
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◎…9回裏、2死一塁。得点は1―2。主将の竹田が左打席に入った。
〈失策でも何でもいいから後につなげたい〉
1球目を見送り、2球目。思い切り振った打球は、外野に向かって高くあがった。
〈まだ終わっていないぞ〉
全力で走ったが、ボールは中堅手のグラブに吸い込まれた。その瞬間、二塁の手前まで走っていた竹田は、少しよろめくようにして、しばし立ちすくんだ。
報徳学園の合言葉は、「初戦突破」だった。選抜大会には16回出場し、春夏あわせて3回の全国制覇の経験のある強豪も、02年春の優勝以来、甲子園での白星から遠ざかっている。
この日、「悲願」の前に「予想外」が続いた。
◎…1回裏、竹田が死球で出塁し、犠打などで1死一、二塁となったが、続く打者は併殺に打ち取られた。2回以降6回まで毎回走者を出し、犠打などで得点圏に走者を進めたが、決定打が出ない。犠打や足をからめて確実に塁を進め、得点につなげる得意のパターンが、影をひそめた。
7回表、近田が崩れた。
先頭打者の中前安打を皮切りに、四球で1死一、二塁。
「ここを抑えればチャンスがある。やってきたことを信じよう」
マウンドに集まった選手に竹田が笑顔で呼びかけた。その直後、連続適時打をあびて2点を先制された。
「投手力を中心にした守備のチーム」(永田監督)がみせた一瞬のほころびを、突かれた。
7回裏、近田の二塁打で1点を返したが、後が続かなかった。
◎…「メンバーに入っていない人の分まで、がんばれ」
竹田は開会式前、便せん1枚に書かれた、兄の祐平さん(19)からの手紙を受け取った。主将としてチーム全体に目を配るように、との内容だった。祐平さんも報徳学園の野球部員だった。04年、報徳学園は甲子園に春夏連続出場したが、いずれも初戦敗退。祐平さんが家に戻り「勝ちたかった」としきりに話していたのを覚えている。
兄の手紙にあったように、試合中、竹田は部員に必死に声をかけ続けた。ピンチの場面では笑顔で「集中して、楽しもう」と呼びかけた。近田には何度も「いける」「大丈夫だ」と繰り返した。
祐平さんには、こう伝えるつもりだ。
「夏、また甲子園に帰ってくる。見とってくれ」
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