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最後の夏、声出し続けた 大和川・松井

2005年07月10日

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笑顔で選手をもり立てる大和川・松井選手(左)=大阪ドームで

 「相手投手はワンバウンドが多い。チャンスだ。キャッチャーの動きをよく見ておけよ」。5回1死二、三塁。大和川の三塁コーチ・松井公則君は三塁走者の田中浩之君にささやいた。

 3球目、捕手がワンバウンドをそらした。予感は当たった。

 「行け!」。松井君が叫ぶ。田中君が本塁に滑り込んで1点。大和川に公式戦で初めての得点が記録された。松井君はにかっと笑顔を見せた。

 大きな声を買われ、三塁コーチを務める。松井君の背番号は10。野球を始めたのは、高校に入ってからだ。本当は中学でもやりたかったが、野球部がなかった。

 大和川にあったのは野球同好会。「野球で青春したい」。でも「青春」の夢は練習初日から壁にぶつかった。

 ノック、捕れない。緩いボール、打てない。キャッチボール、速い球が怖くて腰が引ける。

 でもやめなかった。何か「負け」な気がしたから。それに、下手だからこそ上手になる余地もあるんじゃないか?

 練習に毎日通った。ボールから逃げることは減り、ボールがぶつかる痛みも知った。

 同好会は昨年、部に昇格した。そして迎えた大和川の「最初の夏」。松井君たち3年生にとっては「最初で最後の夏」。

 2点差を一度は振り出しに戻した。でも、初勝利は遠かった。

 試合には出られなかったが、ベンチで、コーチスボックスで、誰よりも大きな声を出し続けた。試合後、のどはガラガラだった。

 宇佐崎司監督は言う。「試合に出るだけが野球じゃない。背番号10は、大きな戦力でした」

(松尾由紀)


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