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早稲田実―関西 9回裏、早稲田実の投手斎藤は最終打者を打ち取り、選手たちに囲まれる |
歓声と悲鳴が交錯する中、早稲田実の船橋はダイヤモンドを疾走した。9回1死一塁、右前に放った打球を関西の熊代が後逸する。右中間をボールが転々とする間に一塁走者だけでなく、船橋も本塁にかけこんだ。
失意の直後の逆転劇だった。1点リードで迎えた8回、関西・下田に逆転2ランを浴びた。あっという間に1点を追う立場に変わった。船橋は「フルスイングするしかない」と9回の打席へ。初球の直球を鋭くはじき返した。「斎藤を何とか助けたかった」。ベンチに戻ると、その斎藤が真っ先に駆け寄ってきた。「ナイスバッティング」
15回引き分けとなった前日、231球を投げたエース斎藤をどうもり立てるか。船橋だけでなく、チームの思いもこの一点だった。
捕手の白川は前夜、斎藤とビデオを見ながら話し合った。スピードがなくても、コースに決まっているボールは打たれていないことに安心する。実際のリードでは変化球を多くした。テンポもいつも以上に遅く、1球1球時間をかけて考え、サインを出した。じれたように関西打線はボール球に手を出した。
斎藤は「今日もしっかり守ってくれた」とチームメートに感謝する。9回のピンチではマウンドに集まり、内野手と夜空を眺めた。「ガッツポーズしている(自分たちの)姿が浮かんだ」
前日と合わせ、5時間25分、24イニング。チーム一丸となった早稲田実の勝利だった。
◆次戦しっかりと(早稲田実・後藤貴司主将)
最後まであきらめずできた。疲れたが、再試合の経験は貴重だったと思う。関西の中村君のスライダーは切れていた。守備のミスもあり、次の横浜戦には当たり前のプレーがしっかりできるようにしたい。
◆選手に未知の力(早稲田実・和泉実監督)
9回裏、バッテリーはずいぶん落ち着いていた。昨日を経験したからこそだろう。昨日と今日とで、まるで1年分やったようだ。野球は何があるか分からない。選手たちには未知の力があるんだと感じた。